婦中鵜坂駅

婦中鵜坂駅：高山本線の活性化を象徴する駅

婦中鵜坂駅は、富山県富山市婦中町西本郷に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）高山本線沿線にある駅です。この駅は、単式ホーム1面1線を持つ地上駅で、無人駅として運営されています。駅舎や待合室、自動券売機といった設備はなく、利用者は簡素な環境の中で列車の利用を余儀なくされています。しかしながら、その背景には、高山本線の活性化に向けた取り組みが深く関わっています。

高山本線活性化社会実験からの出発

婦中鵜坂駅は、2008年3月15日に「JR高山本線活性化社会実験」の一環として、期間限定の臨時駅として開業しました。富山市が鉄道施設の建設費用を全額負担し、2011年春までの3年間、その効果を検証する目的で設置されたのです。実験期間中は、地元住民や関係者による利用促進活動も盛んに行われました。

常設化への道のり

当初は3年間の期間限定でしたが、予想を上回る利用者数の増加が常設化への大きな後押しとなりました。富山市は、1日あたりの利用者数が一定数に達したことを確認し、2010年12月1日に駅の常設化方針を表明しました。その後、JR西日本は2013年11月に国土交通省北陸信越運輸局へ常設化を申請し、同年11月13日に認可を受けました。そして、2014年3月15日、婦中鵜坂駅は晴れて常設駅へと昇格を果たしたのです。

駅名の由来と周辺環境

駅名は、旧婦負郡婦中町と旧婦負郡鵜坂村という、歴史深い地名を組み合わせたものです。駅周辺には、富山イノベーションパーク、創造の森越中座（北日本新聞製作拠点）、北陸コンピュータ・サービス富山本社といった企業が集積しており、ビジネス拠点としての機能も持ち合わせています。また、国史跡である安田城跡も近くにあります。これらの施設の存在が、駅の利用者増加に貢献していると考えられます。

利用促進協議会による地域貢献

2008年に設立された「鵜坂地区JR高山本線婦中鵜坂駅利用促進協議会」は、駅の周辺環境整備に積極的に取り組んでいます。駐輪場の設置、桜や芝桜の植樹、街灯の設置など、利用者の利便性向上のための活動が継続的に行われています。さらに、小学生から大学生を対象とした補助金制度も導入されており、地域全体で駅を支える体制が構築されています。

駅の構造とアクセス

婦中鵜坂駅は、簡素な設備ながらも、利用者の利便性を考慮した設計となっています。43台収容可能な駐車場と駐輪場が整備され、車や自転車でのアクセスも容易です。駅周辺には富山県道62号富山小杉線が通っており、車でのアクセスも良好です。ただし、駅舎やトイレ、自動券売機は設置されていません。

まとめ

婦中鵜坂駅は、高山本線の活性化社会実験から生まれた駅であり、利用者増加を背景に常設化を果たしました。駅周辺の環境整備や地域住民による利用促進活動によって支えられ、現在では地域社会に不可欠な存在となっています。高山本線の活性化と地域発展に貢献する、象徴的な駅と言えるでしょう。

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