婦中町

富山市の発展を支えたまち：旧婦中町

かつて富山県婦負郡に存在した婦中町は、現在では富山市の一部となっています。神通川と井田川が流れ、砺波市、八尾町、小杉町、山田村、そして大沢野町といった自治体と隣接していました。比較的財政状態が良好だったことから、平成の大合併における富山市との合併については、住民投票で反対意見が最も多かった町としても知られています。近年は富山市へのベッドタウンとして発展し、多くの住民が生活の拠点を置いていました。

歴史と変遷

婦中町の歴史は古く、昭和時代に深刻な公害病であるイタイイタイ病が発生した地域でもあります。その歴史は、1889年（明治22年）の町村制施行に遡ります。この時、速星村、鵜坂村、朝日村、熊野村、宮川村、千里村、富川村、古里村、そして音川村が誕生しました。その後、幾度かの合併を経て、1942年（昭和17年）6月1日には速星村と鵜坂村が合併し、婦負郡婦中町が誕生します。さらに1955年（昭和30年）1月1日には、婦中町、朝日村、熊野村、宮川村が合併し、現在の婦中町の基礎が築かれました。1959年（昭和34年）には神保村、古里村、音川村を編入し、現在の婦中町の範囲が確定しました。そして、2005年（平成17年）4月1日、富山市、八尾町、大沢野町、大山町、山田村、細入村との合併により、婦中町は富山市に編入され、その歴史に幕を閉じました。

行政と産業

婦中町は、数々の町長がその発展に尽力しました。1942年から2005年までの歴代町長たちは、それぞれの時代において、地域社会の向上に貢献したと言えるでしょう。

産業面においては、三菱ふそうバス製造、日産化学工業富山工場、そして富山イノベーションパークなど、多くの企業が立地していました。これらの企業は、婦中町の経済発展に大きく貢献しました。

教育と文化

教育面では、複数の小学校、中学校、そして富山県立富山西高等学校、特別支援学校などが設置されていました。これらの教育機関は、地域住民の教育水準向上に大きく寄与しました。

文化面では、速星劇場（映画館、1960年代まで営業）や、現在も存在するフューチャーシティ・ファボーレ（ファボーレ富山）といった施設がありました。また、曲水の宴（4月第3日曜日）、熊野神社の稚児舞（8月25日）といった伝統行事や、安田城跡、鵜坂神社、王塚古墳、富山県中央植物園、音川温泉、富崎城といった歴史的・文化的観光資源も豊富でした。

交通

交通面では、JR高山本線の千里駅と速星駅が町内にありました。高速道路インターチェンジは町内にありませんでしたが、北陸自動車道の富山西インターチェンジや富山インターチェンジが比較的近距離にありました。国道359号と国道472号が町内を通っており、道路交通網も整備されていました。最寄りの空港は富山空港です。

人とまち

NGT48の中井りかさんなど、著名な出身者も輩出しています。合併後も、婦中行政サービスセンターとして富山市の一部として機能しています。旧婦中町は、その歴史と文化、そして人々の努力によって築き上げられた、豊かな地域でした。富山市の一部となった現在も、その歴史と伝統は、富山市全体の発展に貢献していると言えるでしょう。

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