婦人会

婦人会とは

婦人会は、成人女性を対象とした団体で、その目的は修養、趣味の向上、社会活動など多岐にわたります。別名、女性団体、女性会とも呼ばれます。政治、宗教、社会活動を目的とした団体も含まれることがあります。

日本における婦人会の歴史

明治・大正期

日本における婦人会の活動は、明治時代中期にキリスト教系や仏教系の団体が生活改善や道徳涵養を掲げて設立されたことから始まりました。1901年には、日露戦争を背景に銃後支援を目的とした愛国婦人会が発足しています。

明治時代末期から大正時代にかけては、文部省や内務省が主導し、地方改良運動や婦人解放運動への牽制を目的として、地域や全国規模の婦人会が奨励されました。1916年に結成された大日本婦人会は、良妻賢母主義を広めることを目標としていました。

戦前昭和期

昭和時代に入ると、文部省が支援した大日本連合婦人会や、陸軍が支援した大日本国防婦人会が設立されました。特に国防婦人会は、割烹着にたすきがけという特徴的な服装で、出征兵士の見送りに立つなど、兵士の世話に尽力しました。一方、愛国婦人会は上流階級の女性たちの社交場としての側面が強く、金品の寄贈を主な活動としていました。これら二つの団体は会員獲得で激しく競い合い、背後にある陸軍省と内務省の対立を反映しているとも解釈されました。両団体に所属する会員もいましたが、感情的な対立が根強く、統合は容易ではありませんでした。

1941年、政府は連合婦人会を含む三団体の統合を決定し、1942年にはすべての婦人会が大日本婦人会に統合されました。しかし、各団体の特徴は失われ、3年後には国民義勇隊の結成と共に解散しました。

戦後と現在

戦後、各地の婦人会は再結成されましたが、旧態依然とした運営方式がGHQから批判されました。GHQの意向を受けた農林省の主導により、女性たちの自主的な参加を促す「生活改善実行グループ」が組織され、婦人会と並立、あるいは対立する形で活動しました。

戦後の婦人会は行政の下請けとしての側面が強まり、物品販売などで収益を上げる団体が多かったため、それを嫌って加入しない女性も少なくありませんでした。また、民主的な運営が建前でしたが、実際には家柄で発言力が決まるなど、閉鎖的な村社会の側面も残っていました。このような状況から、地域社会の「ボス」的な存在である婦人会員に息苦しさを感じ、徐々に敬遠されるようになりました。そのため、現在の婦人会では、中心メンバーが高齢者に偏る傾向があります。

現在では、婦人会組織を持たない市町村も多く、女性会と名前を変えて活動している団体も多く存在します。

まとめ

婦人会は、明治時代から続く日本の女性団体です。時代とともにその役割を変えながら、戦前は国策に協力し、戦後は地域社会の女性たちの活動を支えてきました。しかし、社会の変化とともにそのあり方も変わりつつあり、現在では女性会と名前を変えて活動する団体も増えています。

参考文献

永原和子「婦人会」（『日本女性史大辞典』吉川弘文館、2008年）ISBN 978-4-642-01440-3

外部リンク

全地婦連（全国地域婦人団体連絡協議会）

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