婦人公論

『婦人公論』について

『婦人公論』（ふじんこうろん）は、中央公論新社が発行する女性誌であり、大正5年（1916年）に創刊されました。初代編集長は嶋中雄作が務め、彼の理念が雑誌の基盤となっています。1998年からは月2回の発行を開始しましたが、2022年に再度月刊に戻りました。

雑誌の目的とコンセプト

『婦人公論』の創刊に至るまで、女性の社会的役割や権利拡張を求める動きが高まりました。特に、1913年の『中央公論』における「婦人問題」特集が、当誌創刊の重要な契機となりました。そのコンセプトに基づき、実用的な記事の多い同時期の他の婦人誌とは異なり、自由主義と女性の権利拡大を重んじるインテリ向けの女性評論誌としての性格を持っています。現在も「女性の幸せを追求し、自由な生き方を応援する」ことを目的としています。

雑誌の歴史

1911年に創刊された雑誌『青鞜』が女性解放運動を促進し、それを背景に『婦人公論』が誕生しました。当初は実用記事をほとんど含まず、女性解放や男女同権を主題とした内容が特徴でした。1918年から1919年にかけては母性保護についての論争も行われ、社会問題への影響を与えました。1944年には休刊し、1946年に復刊を果たしました。その後、1955年に主婦論争を引き起こすきっかけを提供し、1958年には三枝佐枝子が女性編集長として大型出版社で初めての女性が編集長を務めることになりました。

1990年代には「婦人」という名称を「女性」に変更しようという動きがありましたが、当時の編集長であった水口義朗はその名称を継続する意義を説きました。1998年には大規模な誌面改革が行われ、発行頻度が増加し、売上も増加しました。また、2022年には再び月刊化し、判型もA4に統一され、新たなスタートを切りました。

歴代編集長と読者賞

『婦人公論』では、業績を表彰する「読者賞」が存在し、1962年から1970年にかけてその年の優れた記事を選びました。石坂洋次郎や大宅壮一など、多くの著名人が選考委員として参加し、質の高い作品を選定しました。受賞作品には有吉佐和子の「香華」や、山崎豊子の「花紋」などがあります。

重要な執筆者たち

『婦人公論』は多くの著名な作家や評論家が寄稿してきました。谷崎潤一郎や芥川龍之介、太宰治、三島由紀夫など、日本文学において重要な作品を掲載し続けています。これらの作品は、時代を超えた読み応えを持っています。

結び

『婦人公論』は、120年近くの歴史を持ち、女性の権利や地位向上を訴え続けてきました。今でもその理念は生き続け、女性たちの多様な生き方を支援することを目指しています。今後も、時代の変化に応じた新しいコンテンツを提供し、読者にとって価値ある媒体であり続けることが期待されます。

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