孫魯班

孫魯班について

孫魯班（そん ろはん）は、三国時代の呉の公主であり、その生涯は動乱の時代を背景に数多くの政治的事件に関与したことで知られています。彼女の字は大虎で、父には呉の創業者である孫権、母には歩皇后を持ち、同母妹に孫魯育、異母弟に孫和や孫覇、孫亮がいます。彼女は「大公主」としても広く知られています。

生い立ちと結婚

魯班は若い頃、周瑜の長男である周循と結婚しましたが、周循は早くに亡くなります。その後、父の孫権が即位した黄龍元年（229年）に、31歳の全琮と再婚し、「全公主」と呼ばれるようになりました。この結婚によって、魯班と全琮の間に子供が誕生しますが、彼女の人生は平穏とは程遠いものでした。

政治的策略と権力闘争

赤烏元年（238年）、母の歩練師が他界し、続いて赤烏4年（241年）に皇太子の孫登も亡くなると、皇后や皇太子は不在となります。この状況を利用して、孫魯班は新たな権力を得ようと画策しました。特に、孫和を皇太子に推挙した後、彼とその母王夫人との不和を利用して、孫和を失脚させるための陰謀を巡らせました。

ある時、孫権の病床を利用し、魯班は父に対して孫和が宗廟で祈らずに妃の実家と接触しているという嘘の情報を流します。これが孫権の逆鱗に触れ、王夫人は病のために亡くなり、その結果、孫和は父に疎まれることとなりました。このようにして、魯班は政治的な優位性を獲得していきました。

権力の維持と陰謀

赤烏7年（244年）頃には、すでに長公主としての地位が確立されていたと考えられます。その後の彼女は、父である孫権の側近として政治的な発言力を持つようになりますが、過去の行動が露見することを恐れ、他者との結びつきを強化します。孫亮との関係を深めるため、全尚の娘を彼に嫁がせることを父に提案し、周囲に自身の権益を広げます。

赤烏13年（250年）には、孫権の命によって孫和と孫覇に対する処罰が行われ、孫亮が皇太子に立てられました。以降、魯班は孫亮の権力を支えながら自身の影響力を確保していきます。彼女はまた、他の権力者に対する暗殺計画を推進し、自身の影響を行使していきました。

崩壊と逃亡

しかし、彼女の権力基盤は次第に不安定となり、太平3年（258年）には孫亮が孫綝の専横に業を煮やし、討伐の計画を立てていました。この陰謀が発覚し、魯班は流刑になり、その後の消息は記録に残されていません。

小説と魯班の評価

孫魯班は小説『三国志演義』にも登場し、彼女の陰謀と政治的策略についての描写がなされています。そこでの彼女は、特に孫和との対立が強調され、魯班がどのようにして皇太子の地位を脅かしたかが描かれています。彼女の生涯は、権力を巡る戦いとその裏で繰り広げられた人間関係の構図を浮き彫りにしています。

このように、孫魯班は三国時代という混沌とした時代において、数々の策略を巡らしつつ生き抜いた女性の一人です。彼女の行動や選択は、結果として呉の政治に大きな影響を与えることとなりました。

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