孫和

孫和（そん か）

孫和（224年 - 253年）は、三国時代の呉の皇族で、孫権の息子です。字は子孝。

生涯

幼い頃から孫権に寵愛され、14歳で官僚と兵士を与えられました。闞沢から教育を受け、学問を好み、才能ある人物を大切にしたため、名声を得ます。太子の孫登とも親しく、孫登は孫和を後継者にするよう遺言したとされます。

242年、19歳で皇太子に指名され、闞沢・薛綜らが教育係、蔡潁・張純・封甫・厳維らが友人役として付けられました。鍾離牧も太子輔義太尉に任命されました。

孫和は役人の上申が不正の温床になるとして禁止を提言、丁晏と劉宝の争いを仲裁し関係を修復させました。また、人士が博奕に夢中になっていることを憂い、韋昭に『博奕論』を著させ、博奕を批判させました。

しかし、皇太子となった孫和に対し、孫覇を推す動きが起こり、後継者争い「二宮事件」が勃発します。孫和派と孫覇派が対立し、全公主が孫権に讒言したことで、孫和は寵愛を失いました。

250年、孫和は皇太子を廃され幽閉され、孫覇も自害を命じられました。孫亮が新たな皇太子となります。孫和の赦免を願った朱拠らは処刑され、孫和を支持した人々も罪に問われました。

孫権は後に孫和を赦免しようとしましたが、全公主らの反対により断念。252年、南陽王とされ長沙に幽閉されました。孫権の死後、諸葛恪が孫和の待遇改善を図りましたが、孫峻により孫和は自殺を命じられ、正妻の張氏と共に亡くなりました。

死後

孫和の子は、孫晧の生母である何姫によって育てられました。孫晧が帝位につくと、孫和は文皇帝と諡され、名誉回復が図られました。孫晧は孫和を敬愛し、廟を新設するなどしました。韋昭に孫和の本紀を立てるよう命じましたが、断られています。

『呉書』では、孫権・孫登が孫和を寵愛した記述が誇張され、孫晧の皇位継承の正統性を主張する意図がうかがえます。

評価

陳寿は「優れた資質を備え、自ら修養に努めたが、非業の死を遂げることとなった。悲しいことである」と評しています。

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