全尚

全尚（ぜん しょう）

全尚は、中国の三国時代に活躍した政治家であり、呉に仕えた重要な人物です。彼の人生には多くの出来事が詰まっており、特に全氏一族の運命に大きな影響を与えました。

生い立ちと背景

全尚の出身地は、揚州呉郡の銭塘県であり、字は子真です。彼は全琮の族父を持ち、家族の中でも目立つ存在でした。全尚は政治の世界に身を投じ、妻は孫峻の姉であり、子供には全紀と全皇后がいます。このように、彼の家族関係は当時の権力構図に大きく影響しました。

娘と孫亮

全尚の娘は孫魯班に特に可愛がられており、彼女の存在は孫亮との関係にも繋がりました。孫魯班はその美しさや才覚で知られ、皇太子の母と仲違いになったため、孫亮の母子に取り入ろうとしました。彼女は全尚の娘を孫亮の妃にすることを孫権に提案し、見事に実現しました。

孫亮が即位すると、全尚は城門校尉に任命され、都亭侯に封じられました。さらに、滕胤の後任として太常・衛将軍にも任命され、永平侯として位を進め、尚書の事務を統括することとなります。この時、全氏一族からは多くの侯が出現し、それぞれが兵馬の指揮権を持ち、帝の側近として活躍しました。このような影響力は、呉において非常に珍しいものでした。

全氏の衰退

しかし、全尚の時代には困難な時期も訪れました。太平2年（257年）、魏の諸葛誕が反乱を起こすと、全氏は援軍を派遣しましたが、その留守中に国内では権力争いが激化しました。この結果、多くの全氏の人物が降伏したり、全煕のように命を落とすことになります。こうして、全氏の権力は著しく衰退しました。

孫亮の暗殺計画

続く太平3年（258年）、若き孫亮は孫綝の横暴に憤り、その暗殺計画を進めるようになりました。全尚は孫魯班や事の権力者である劉丞と共に、この計画に加わりますが、孫綝は事前にこの計画を察知し、宮城を制圧するに至ります。劉丞は殺され、全尚は捕獲されます。この事情によって、全尚の娘である全皇后や全尚の妻が密告者であったとも言われています。

計画が失敗すると、全尚の子である全紀は、孫亮からの罵倒を受け、その責任を感じて自害する結果となりました。孫亮が廃位となり、全皇后も共に流罪になりますが、全尚は最終的には殺害されることになります。

文学における全尚の描写

全尚は小説『三国志演義』にも登場し、そこでの役割は歴史的事実に基づいて描かれています。彼の人生は三国時代の政治の激動を物語っています。全尚やその一族の運命は、その時代の権力の流れを象徴するものといえるでしょう。

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