安芸長束駅

安芸長束駅（あきながつかえき）

概要

広島県広島市安佐南区長束四丁目に所在する安芸長束駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が運営する可部線の駅です。駅番号はJR-B05が付与されており、地域の主要な公共交通機関として機能しています。

歴史

安芸長束駅の歴史は、1928年（昭和3年）11月19日に「大師停留場」として開業したことに始まります。当初は広島電気線の施設であり、新庄橋停留場と初代長束停留場（後の安芸山本駅）の間に位置する旅客専用の停留場でした。その後、1931年（昭和6年）7月1日には広島電気線が広浜鉄道へ譲渡され、同社の停留場となりました。1933年（昭和8年）4月21日には名称が変更され、「長束停留場」（2代目）となります。この時、初代長束停留場は山本停留場に改称されています。

鉄道の歴史が大きく動く中で、1936年（昭和11年）9月1日には広浜鉄道が国有化され、鉄道省可部線の駅となり、この時に現在の駅名である「安芸長束駅」と名付けられました。戦後間もない1949年には駅舎が改築され、施設の近代化が進められました。1972年（昭和47年）9月1日には国鉄の特定都区市内制度が導入され、「広島市内」の駅の一つとなりました。旅客駅としての機能に特化するため、1984年（昭和59年）2月1日には荷物取扱いが廃止されています。

1987年（昭和62年）4月1日の国鉄分割民営化に伴い、安芸長束駅はJR西日本の管轄となりました。駅の運営体制も変化を遂げ、1991年には広島支社の直轄から可部鉄道部への管轄変更、同年の11月1日には業務委託駅となりました。利用者サービスの向上として、1992年（平成4年）11月1日にはみどりの窓口の営業が開始されましたが、2023年（令和5年）11月30日をもって営業を終了しています。現在の駅舎は1998年（平成10年）3月27日に完成したものです。可部鉄道部廃止に伴い、2006年（平成18年）7月1日からは再び広島支社直轄へと変更されました。

ICカードへの対応も進み、2007年（平成19年）7月15日にはICOCA対応の簡易型自動改札機が設置され、同年9月1日からはICカード「ICOCA」が利用可能となりました。

駅構造についても大きな改良が行われ、2015年（平成27年）11月28日には従来の島式ホーム1面2線から単式ホーム2面2線へと変更され、新しいホームの供用が開始されました。2017年（平成29年）11月からは西側の駐輪場立体化工事が開始されるなど、駅周辺の整備も進められています。

また、地域の文化を取り入れたユニークな取り組みとして、2018年（平成30年）5月26日からは発車メロディに地元に伝わる「長束音頭」が採用されました。これは広島市内のJR在来線としては初めての試みであり、地域の特色を活かした駅づくりが行われています。

駅構造

安芸長束駅は地上に設置された駅で、列車交換が可能な単式ホーム2面2線の構造を有しています。駅舎は線路の西側、あき亀山方面寄りに位置しています。下りホームへは駅舎から階段やスロープで直接アクセスできますが、両ホーム間は安全確保のため警報機と遮断機が備え付けられた構内踏切によって連絡されています。

駅業務はJR西日本中国交通サービスへの業務委託によって行われています。駅舎内には自動券売機が設置されており、乗車券の購入が可能です。ICカード「ICOCA」および相互利用可能な各種交通系ICカードが利用できます。当駅は、JR特定都区市内制度における「広島市内」に含まれる駅です。

現在の駅舎は1998年に建てられた鉄骨造りの平屋建築で、デザインには地域のシンボルである天然記念物「長束の蓮華松」がモチーフとされており、正十二角形の特徴的な屋根を備えています。

ホーム改良と安全性向上

過去、安芸長束駅は島式ホーム1面2線の形態でした。この頃は構内踏切に警報機のみが設置され、遮断機はありませんでしたが、2013年12月23日に遮断機が新設され安全対策が強化されました。さらに、2015年11月28日には新設された下りホーム（緑井・可部方面）の供用が開始され、駅構造は現在の単式ホーム2面2線へと変更されました。旧下りホーム部分は安全のため柵が設けられ、現在は使用されていません。

一連のホーム構造変更や安全設備設置の背景には、2013年6月に線路を横断中に発生した痛ましい事故があり、これを受けた安全対策として実施されました。また、以前は線路有効長がホーム有効長とほぼ同等で余裕がありませんでしたが、改良工事によって上り側のポイントが広島寄りに移設され、線路構造にも余裕が生まれ、安全な列車の発着が可能となりました。

利用状況

安芸長束駅の年間および1日平均乗車人員などの利用状況に関するデータは、広島市が発行する「広島市統計書」や「広島市勢要覧」に掲載されています。これらの資料からは、駅の利用状況の推移を把握することができます。（具体的な数値データは省略）

駅周辺

駅周辺には、地域住民の生活を支える施設やバス路線が整備されています。駅の東側には広島交通の「長束」バス停が、西側には同じく広島交通の「大師橋」バス停が設置されており、多様な方面へのアクセスが可能です。

「長束」バス停からは、横川駅や新庄橋方面、安芸山本や古市橋駅前方面、山本小学校前や山本東亜ハイツ方面、春日野方面、広島経済大学方面など、広範囲への路線が運行されています。「大師橋」バス停からは、横川駅・新庄橋方面に加え、広島文化学園大学方面への平原線が運行されています。

その他

ICOCAの利用履歴には、当駅は「アキ長束」と表記されます。
前述の通り、2018年から使用されている発車メロディ「長束音頭」は、地元に古くから伝わる民謡を駅の音として採用したものであり、広島市内のJR在来線における発着メロディ導入の初めての事例として特筆されます。

隣の駅

JR西日本 可部線
三滝駅 (JR-B04) - 安芸長束駅 (JR-B05) - 下祇園駅 (JR-B06)

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