定光寺駅

定光寺駅：山間の秘境駅と愛岐トンネル群への玄関口

定光寺駅は、愛知県春日井市玉野町に位置する東海旅客鉄道（JR東海）中央本線の駅です。駅番号はCF10。名古屋の通勤圏に属しながらも、玉野川（庄内川）の渓谷沿いの崖にへばりつくように建つその佇まいは、秘境駅のような雰囲気を醸し出しています。高蔵寺駅からほんの数分の距離ですが、周囲の景色は劇的に変化し、都会の喧騒を忘れさせてくれる静寂に包まれています。

歴史と変遷

定光寺駅の歴史は古く、1919年（大正8年）に玉野信号所として開業しました。その後、1920年（大正9年）に定光寺仮停車場となり旅客営業を開始、1924年（大正13年）には定光寺駅に昇格し、荷物の取り扱いも開始しました。しかし、1970年（昭和45年）には荷物の取り扱いが廃止され、駅員無配置駅となりました。国鉄分割民営化後の1987年（昭和62年）4月1日からはJR東海の駅となり、2006年（平成18年）11月25日にはICカード「TOICA」の利用が可能になりました。かつては簡易委託駅として駅舎近くの売店で乗車券が販売されていましたが、現在は高蔵寺駅管理の無人駅となっています。

駅構造とアクセス

定光寺駅は、相対式ホーム2面2線を有する地上駅です。下りホームへは線路を潜るトンネルを通ってアクセスします。自動改札機は設置されておらず、TOICAは簡易改札機での対応です。チャージなどの機能はありません。車でのアクセスも容易で、周辺には駐車場も整備されています。

利用状況と周辺環境

定光寺駅は、通勤・通学利用者の多くが瀬戸市から訪れる駅です。駅周辺は山間部であり、住宅は少なく、かつての建物の廃墟も目立ちます。しかし、その静けさこそが、この駅の大きな魅力となっています。

駅周辺の観光スポット

駅周辺には、東海自然歩道や定光寺、瀬戸市定光寺公園、瀬戸市定光寺町民会館、瀬戸市定光寺野外活動センターなど、自然と歴史に触れ合えるスポットが点在しています。また、応夢亭や玉野園地、玉野富嶽神社といった観光地も魅力です。愛岐道路（愛知県道15号名古屋多治見線）も駅近くを通っています。

愛岐トンネル群と近代化産業遺産

かつて、多治見駅～高蔵寺駅間には14のトンネルが存在し、その建設においては多くの犠牲者が出たと言われています。定光寺駅付近には、工事殉職者の慰霊碑も建立されています。これらのトンネルは、1966年（昭和41年）の愛岐トンネル完成による複線電化で廃線となりましたが、2009年（平成21年）2月には「愛岐トンネル群」として近代化産業遺産に認定されました。一般公開時には、定光寺駅が最寄駅となるため、多くの観光客が訪れ、駅は賑わいを見せます。快速列車の臨時停車も行われることもあります。

隣の駅

• - 古虎渓駅
• - 高蔵寺駅

定光寺駅は、静寂と自然に包まれた秘境駅でありながら、近代化産業遺産である愛岐トンネル群へのアクセス拠点としての役割も担っている、魅力あふれる駅です。

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