宮崎カーフェリー

宮崎カーフェリー株式会社は、関西地区と宮崎県をフェリーで結ぶ海運会社です。その歴史の中で、少なくとも3つの異なる法人格が存在しました。それぞれの設立経緯、事業内容、そして変遷について詳しく見ていきましょう。

初代法人（1971年設立）

1971年、日本カーフェリーの子会社として、宮崎県の地元財界と共同で設立されました。主な事業は、日向細島港から関西方面への航路運営でした。しかし、設立翌年の1972年には、親会社である日本カーフェリー（後のシーコムフェリー→マリンエキスプレス）に吸収合併され、その歴史に幕を閉じました。

2代目法人（2004年分社化）

2004年、マリンエキスプレスから分社化される形で設立されました。この法人は、大阪 - 宮崎航路と貝塚 - 細島 - 宮崎航路の事業を引き継ぎました。しかし、2018年3月には福岡マゼランへ商号変更し、特別清算手続きを経て消滅しました。

3代目法人（2018年設立）

2代目法人の事業を継承し、2018年に設立されました。現在の宮崎カーフェリーはこの法人にあたります。地域経済活性化支援機構などの支援を受け、事業を継続しています。

企業概要

現在の宮崎カーフェリー株式会社は、以下の場所に拠点を置いています。

本社: 宮崎県宮崎市港三丁目14番地
関西支店: 兵庫県神戸市中央区新港町3番7号
鹿児島支店: 鹿児島県鹿児島市西千石町11-21 鹿児島MSビル5階

特別清算と事業承継

2代目法人は、マリンエキスプレスからの転籍者の労働債務を引き継いだため、設立当初から債務超過の状態でした。原油価格の高騰による燃料費増大、高速道路料金の引き下げ、東九州自動車道の延伸による大分港への貨物需要流出など、経営環境は厳しさを増しました。老朽化した船舶の更新資金も不足し、2017年11月には特別清算を申請しました。

その後、地域経済活性化支援機構の支援を受け、3代目法人に事業譲渡が行われました。2代目法人は商号を福岡マゼラン株式会社に変更し、2019年2月に法人格が消滅しました。

沿革

初代法人

1970年3月：日本カーフェリーの子会社として設立。
1971年6月：神戸 - 日向細島航路を開設。「はいびすかす」就航。
1972年5月：大阪 - 日向細島航路を開設。
1972年7月：日本カーフェリーに吸収合併。

2代目法人

2004年4月：マリンエキスプレスの幹部社員の出資により設立。
2004年8月：マリンエキスプレスより大阪航路、貝塚航路を譲受。
2005年6月：貝塚航路を再開。「フェニックスエキスプレス」投入。
2006年4月：燃油価格上昇に伴い、貝塚 - 宮崎航路を休止。
2014年10月：大阪航路を神戸港に移転、神戸航路となる。
2017年11月：特別清算申請。
2018年3月：商号を福岡マゼランへ変更。
2019年2月：福岡マゼランの法人格が消滅。

3代目法人

2018年3月：地元自治体等の出資により設立。2代目法人の運航事業を継承。
2022年4月：新造船「フェリーたかちほ」就航。
2022年10月：新造船「フェリーろっこう」就航。

航路

現在就航している航路は以下の通りです。

宮崎港 - 神戸港: 毎日運航

過去には以下の航路がありました。

日向細島港 - 神戸港 (初代法人)
日向細島港 - 大阪港 (初代法人)
宮崎港 - 日向細島港 - 貝塚港 (2代目法人)
日向細島港 - 貝塚港 (2代目法人)
宮崎港 - 貝塚港 (2代目法人)
宮崎港 - 大阪南港 (2代目法人)

船舶

現在運航中の船舶

フェリーたかちほ: 2022年4月就航。総トン数14,006トン。
フェリーろっこう: 2022年10月就航。総トン数14,006トン。

これらの船舶は、旧マリンエキスプレスの塗装を受け継ぎ、下半分があずき色、上半分が白色です。ファンネルマークには、旧日本カーフェリーの鳶のマークがあしらわれています。

過去に就航していた船舶

初代法人: はいびすかす、はまゆう、るぴなす、せんとぽーりあ
* 2代目法人: フェリーひむか、フェニックスエキスプレス、みやざきエキスプレス、こうべエキスプレス

これらの船舶には、それぞれ特徴的な歴史やエピソードがあります。特に「フェリーひむか」は、九越フェリー時代に映画「白い船」のモデルとなり、宮崎カーフェリー時代には映画「LIMIT OF LOVE 海猿」の撮影にも使用されました。

宮崎カーフェリーは、長年にわたり宮崎と関西を結ぶ重要な交通手段として、地域経済に貢献してきました。これからも安全な航海を続け、利用者に快適な船旅を提供してくれるでしょう。

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