家本賢太郎

家本賢太郎

日本の経営者。1981年12月2日生まれ。クララ株式会社の代表取締役社長を務める。経済学者として知られる家本秀太郎を祖父に持つ。愛知県名古屋市昭和区出身。

少年時代の試練と新しい出会い

小学6年生の時に原因不明の高熱に見舞われ、1996年、滝中学校の2年生だった頃に脳腫瘍と判明し、摘出手術を受けた。この手術の後遺症により、一時的に車椅子での生活を余儀なくされる。入院中の病室で出会ったパソコンが、彼のその後の人生を大きく変えることになる。インターネットの世界に没頭する中で、次第にプログラミングの面白さに目覚めていった。

15歳での異例の起業

1997年、滝中学校を卒業後、文部省大学入学資格検定（大検）に合格。同年5月には、わずか15歳にして合資会社クララオンラインを設立し、レンタルサーバー事業を開始した。これは当時のインターネット黎明期において、極めて異例の若年起業として注目を集めた。事業は順調に拡大し、翌1998年には有限会社へ組織変更、さらに1999年には株式会社へと発展させた。

学びと回復、そして社会への貢献

起業と同年の1999年には、慶應義塾大学法学部（通信教育課程）に入学し、学業と事業の両立を図った。この頃、両脚の運動神経が回復し、車椅子を使わない生活に戻ることができた。2001年には慶應義塾大学環境情報学部に再入学したが、2006年に体育の単位不足により中途退学。しかし学びへの意欲は衰えず、同年には早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に入学し、2007年に修了している。

経営者としての活動に加え、家本氏は社会的な活動にも積極的に参加している。2007年から2011年までNHK中央放送番組審議会委員を務めたほか、2009年から2019年までの10年間、内閣府男女共同参画会議議員を務め、国の政策形成に携わった。また、2016年から2017年には内閣府男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会会長として、現代社会における男性の多様な生き方や意識改革に関する議論を主導した。これらの公職活動を通じて、社会全体の課題解決にも貢献している。

新たな挑戦と発信

2021年には、プロバスケットボールチームである東京ユナイテッドバスケットボールクラブを設立し、スポーツ界における新たな挑戦を開始した。自身が難病を乗り越え、困難を力に変えてきた経験は、多くの人々に勇気を与えている。2024年4月1日には、創業以来の社名であった株式会社クララオンラインをクララ株式会社に変更し、さらなる事業展開を図っている。

彼の経験は著書『僕が15で社長になった理由』（ソフトバンクパブリッシング）にまとめられており、若くして起業に至った背景やその思いが綴られている。また、関西テレビの番組「FNNスーパーニュースほっとKANSAI」（2001年4月2日～2002年3月29日放送）に出演するなど、メディアを通じてその考えや活動を発信している。ブログやX（旧Twitter）などのオンラインメディアでも積極的に情報を公開し、多くのフォロワーと交流している。

家本賢太郎は、少年期の病という大きな困難を乗り越え、15歳での起業という異例のキャリアを築いた経営者である。事業の成功にとどまらず、国の審議会委員などを歴任することで社会貢献にも力を注いできた。自身の経験に基づいた強いリーダーシップと柔軟な発想で、ビジネスのみならず社会の様々な分野で活躍を続けている。彼の歩みは、逆境を乗り越える力と、若くして道を切り開くことの可能性を示している。

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