小岩井農場

小岩井農場の魅力

小岩井農場（こいわいのうじょう）は、岩手県に広がる日本最大の民間総合農場です。約3,000haの広大な土地があり、その中には山林や耕地が広がり、特に「まきば園」と呼ばれる40haは一般に開放されています。この農場は、東京都に本社を置く小岩井農牧株式会社が運営しています。

多様な事業と酪農の歴史

小岩井農場では、酪農、山林、食品、環境緑化、観光、品質保証・環境対応・技術支援といった6つの事業が展開されています。特に、酪農は1901年から始まり、この地域の基幹産業となっています。農場内で生産した飼料を使って牛が飼育されており、地域経済にも大きな影響を及ぼしています。さらに、山林事業では持続可能な森林経営が進められています。

観光事業には、ミルク館や文化財ギャラリー、乗馬体験、トロ馬車、さらにはクラフト教室が含まれ、多くの訪問者を惹きつけています。特に、1904年から1958年まで運行されていた馬車鉄道は、農場内の各所を結ぶ重要な交通手段でした。かつては宿泊可能なSLホテルもありましたが、2008年には閉館となりました。

食品事業の展開

食品事業においては、生乳の生産のみならず、ヨーグルトやチーズ、アイスクリームなどの乳製品や、ケーキ、クッキーの製造・販売も行っていました。小岩井乳業株式会社は1976年に独立し、キリングループの一員となりました。

文化財の保存とその意義

小岩井農場は「日本の20世紀遺産20選」に選ばれており、重要文化財に指定されている建物がいくつか存在します。これらの建物は不変の歴史を物語っており、重要文化財の保存や修復といった活動は公益財団法人小岩井農場財団が担っています。

農場の歴史

1889年に、鉄道庁長官の井上勝が訪れた際、荒れた土地を農場として開発する決意が固まりました。このために、三菱社から資金を得て、1891年に農場が設立されます。創設時の名称は、井上、岩崎、小野の頭文字を取って「小岩井農場」と命名されました。農場は成長を続け、特に戦前は育馬事業も行い、多くの名馬を輩出しました。

重要文化財群の存在

小岩井農場内には、明治から昭和初期にかけて建設された建築物が多く残っており、国の重要文化財として21棟が指定されています。特に、牛舎やサイロ、冷蔵庫といった施設は、建築史においても重要な位置を占めています。これらの建物は現役の農場として使用されつつ、文化財としても保存されているため、新たな文化財保存の手法を示しています。

名勝と文学の影響

農場内にある524メートルの小高い山「狼森」は、国指定の名勝で、宮沢賢治の『狼森と笊森、盗森』に実際の地名として登場します。賢治はこの農場を散策し、1922年には詩集『春と修羅』に小岩井農場を題材にした長詩を掲載しました。

アクセスと観光ハイライト

小岩井農場へのアクセスは、東北自動車道盛岡インターチェンジから約12km、または盛岡駅東口から岩手県交通のバスを利用することが可能です。訪れると、広大な自然や歴史的な建物、乳製品を楽しむことができ、また教育的な要素もあり多世代で楽しめる場所です。多くの観光施設が展開されており、家族連れにも訪れてほしいスポットです。

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