屏風

屏風（びょうぶ）とは

屏風は、部屋を仕切ったり装飾したりするための伝統的な調度品である。木製の枠に数枚の小さなふすまのような板を接合し、折りたたむことができる構造を持つ。名称の由来は「風を屏（ふせ）ぐ」という言葉から派生しており、もともとは冷気を防ぐために布団の枕元に立てられていたため、昔は「枕屏風」と呼ばれていた。

歴史

古代中国の漢時代から既に存在し、魏、晋、南北朝時代には王族の贅沢な装飾品へと進化した。日本において最古の屏風は686年に新羅から献上されたもので、日本書紀には屏風に関する初の記述が見られる。平安や鎌倉時代のものは極めて少ないが、室町時代には水墨画や極彩色の屏風が盛んに制作され、今日の屏風絵のスタイルが確立された。中世には、屏風は輸出品としても珍重され、中国や朝鮮、ヨーロッパへの贈答品として使われていたことが記録に残る。

構造

屏風の基本構造は、木枠に用紙や布を貼った細長いパネルからなり、このパネルは一扇と呼ばれ、接続されたものが一隻として数えられる。奈良・平安時代では一般的に6扇（六曲）の構造が多く、各扇を革紐でつなぎ、縁をつけていた。鎌倉時代には紙製の蝶番が考案され、前後に開閉可能な形状に進化した。室町時代初期には、縁が一続きとなり、14世紀には二隻一双形式が定型化され、その後も二曲や八曲の屏風が登場した。

美術

室町時代から安土桃山時代にかけて、屏風絵は重要な芸術形式として確立された。当時有名な画家として狩野永徳などが挙げられ、屏風は城郭や重要な場面に不可欠なアイテムとなった。日本の屏風絵は戦国時代から江戸初期にかけて南蛮貿易を通じて海外にも影響を与え、ポルトガルやスペインで「ビオンボ」と呼ばれるようになった。ノアの方舟の伝説を日本的に描いた「大洪水図屏風」も作品として出回った。

金屏風

室町時代には金箔や金砂子などで装飾された金屏風が作られ、これらは儀礼用や日常用として使用されると共に、幕府や大名から外国への贈答品としても重用された。

関連文化

近年、金屏風は結婚式などの場面でも多く用いられ、一部の公の場面でも目にすることがある。邦楽の演奏会では緋毛氈と一緒に使われ、舞踊や歌舞伎の背景としても活用される。屏風はその特性から、完全に折りたたむことができず、板状に広げると倒れやすいため、中間の状態での安定的な設置が求められる。この特性から「人と屏風は直ぐには立たぬ」という諺が生まれるほど、世渡りの知恵とも結びついている。

終わりに

屏風はただの調度品ではなく、日本文化の中で独自の役割を持ち続けている。古くから続くその形状や使い方は、現代においても価値を持ち、人々の生活の一部となっている。

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