川原盧谷

川原盧谷（かわはら ろこく、生年不明 - 明治3年（1870年））は、江戸時代末期に長崎で活躍した浮世絵師、版元です。

来歴

川原盧谷は、川原慶賀および江元燨の門人でした。姓は川原でしたが、後に田口氏を称しました。盧谷という号を用い、長崎で活動しました。川原慶賀の子であるとされています。俗称は登七郎、または富作とも名乗りました。字は張六でした。弘化の頃には、肉筆の美人画を描いたほか、南画風の山水画や銅版画なども制作しました。今下町で仙寿軒と称して、自らの錦絵などを出版していました。

作風と特徴

川原盧谷は、浮世絵師として、美人画、風景画、風俗画など、幅広いジャンルの作品を手がけました。師である川原慶賀の影響を受け、西洋画の技法を取り入れた作品も多く残しています。特に、遠近法や陰影法を用いた風景表現は、従来の浮世絵にはない斬新なものでした。また、版元としても、自らの作品だけでなく、他の浮世絵師の作品も出版しました。仙寿軒から出版された錦絵は、当時の人々に広く親しまれました。

作品

「新板画阿蘭陀人舩中之図三枚続」 大判3枚続 錦絵 仙寿軒版
「唐人指環投之図」 竪判色摺 仙寿軒版
「遊女進館図」 絹本着色 双幅 『古画備考』 所載
「碕港紅毛船碇泊図」 洋風画 個人所蔵
『草木花実写真図譜』上下巻 慶賀画 盧谷校

後世への影響

川原盧谷の作品は、当時の浮世絵界に大きな影響を与えました。特に、西洋画の技法を取り入れた風景表現は、後の浮世絵師たちに大きな刺激を与え、新たな表現の可能性を切り開きました。また、版元としての活動も、浮世絵の普及に大きく貢献しました。川原盧谷は、江戸時代末期の浮世絵界を代表する一人として、その名を知られています。

参考文献

日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』第2巻 大修館書店、1982年
* 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』第3巻 大修館書店、1982年 ※139頁

もう一度検索