巡航戦車

巡航戦車について

巡航戦車（じゅんこうせんしゃ、cruiser tank）は、主に第二次世界大戦中のイギリス軍が使用した戦車の一種であり、その役割は主に機動性と速力に重きを置いていました。これに対し、歩兵戦車は厚い装甲を持ち、歩兵部隊の支援を目的として設計されていました。イギリス軍は、第一次世界大戦の教訓を踏まえ、1936年に戦車を巡航戦車と歩兵戦車に分け、それぞれ異なる任務を持たせました。

第二次世界大戦において、巡航戦車は敵のラインを突破したり追撃を行うために軽量で高速であることが求められ、その結果、装甲が薄いという特性を持っていました。一方で、歩兵戦車は大型かつ重装甲で防御力が高く、主に前線での戦闘支援に特化していました。この戦車の分類は、巡航戦車と歩兵戦車の役割を再定義したものであり、歴史的には第一次世界大戦中における軽戦車と重戦車の区分に基づいています。

ドイツ軍が戦車の火力や装甲を強化する中で、イギリスの巡航戦車もその性能を向上させる方向で改造され、いわば「重巡航戦車」として進化しました。しかし、このプロジェクトの開発および配備は遅れ、最終的にはアメリカから供与されたシャーマン戦車がイギリス陸軍の主な戦力として使用されることとなります。

特に、巡航戦車の中でもMk.III（A13）以降のモデルは、クリスティー戦車に影響を受けており、ソ連軍ではBTシリーズとして改良・量産されました。このBT[[戦車]]は、イギリスの巡航戦車と同様の目的で設計されたもので、イギリス軍将校が大規模なソ連の演習でそれを見る機会があったことが、巡航戦車の開発に影響を与えたと言われています。

戦後、イギリスはセンチュリオン、チーフテン、チャレンジャーなどの主力[[戦車]]を開発し、これらは「C」で始まる名称を持つという巡航戦車の伝統を受け継いでいます。これは、巡航戦車がイギリス陸軍において重要な役割を果たしていた証とも言えます。

巡航戦車の一覧

イギリス陸軍における主な巡航戦車は以下の通りです:

• - Mk.I（A9）
• - Mk.II（A10）
• - Mk.III（A13）
• - Mk.IV（A13Mk.II）
• - Mk.V カヴェナンター（A13Mk.III）
• - Mk.VI クルセーダー（A15）
• - Mk.VII キャバリエ（A24）
• - Mk.VIII セントー（A27L）
• - Mk.VIII クロムウェル（A27M）
• - チャレンジャー（A30）
• - コメット（A34）
• - センチュリオン（A41）

また、イギリス以外の国で設計・製造された巡航戦車も存在します:

• - ラム（カナダ製）
• - グリズリー（カナダ製）
• - センチネル（オーストラリア製）

アメリカ製の戦車も巡航戦車に便宜上記載されることがありますが、本来はそのカテゴリには当てはまりません:

• - リー/グラント
• - シャーマン
• - シャーマン ファイアフライ

巡航戦車はその設計思想や機能性から、戦車戦の歴史において重要な役割を果たし、イギリス軍の戦闘能力を大いに高めることに寄与しました。

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