広城

広城の歴史とその意義

広城（ひろじょう）は、和歌山県有田郡広川町名島と湯浅町別所に位置しており、かつて存在した山城です。この城は、紀伊国の守護を担っていた畠山氏の居城として知られています。

概要

広城は高城山の標高147メートル、比高120メートルの地点に築かれており、東西の二つの峰に跨がっています。これらの峰はそれぞれ東城と西城と呼ばれています。城の設立は応永8年（1401年）で、紀伊守護に任じられた畠山基国によって築城されました。

畠山氏と広城

長禄年間（1457-1460年）から寛正年間（1460-1466年）にかけて、畠山義就と政長の家督を巡る争いが激化しました。この頃、政長方によって守護所が大野から広へ移されました。広の位置は紀北の大野と紀南の南部（みなべ町）の間にあり、両方に対する影響力があったため、守護所の移転は合理的な判断だったと考えられています。

特に応仁の乱の初期には、広城を舞台にした戦いが繰り広げられました。文正元年（1466年）には、畠山義就の養子である政国が広城を攻略しましたが、その後も政長方によって広城が攻められ、1468年1月には政長方が再び城を奪還しています。

広城とその周辺

広城から西へ約1キロメートルの地点には養源寺が存在し、寺域にはかつて守護館（広館）がありました。この守護館は広城と連携して機能していたとされており、後の町場の形成に寄与しました。明応の政変以降、畠山尚順が紀伊に在国し、城下町が整備された原因とされています。

永正17年（1520年）に、畠山氏の内部で起こった合戦では、野辺慶景が主君である尚順に敗北したことが記録されています。敗れた尚順は広から和泉国の堺に移りました。その後も広城は重要な拠点であり続け、1521年には尚順が広城を攻めましたが再び失敗し、淡路島に退去しました。このように、広城は畠山氏の権力の変遷に密接に関わっていました。

終焉と遺産

その後、畠山氏は広城から鳥屋城（現・有田川町）に拠点を移しましたが、鳥屋城の自然環境による制約からここにも一定の政治的機能が残されたとされています。広城はその歴史的背景から、紀伊国における守護の拠点として重要な位置を占めていました。広城の遺構や文化的な影響は、現在でも地域の歴史に残る貴重な資源です。

広城は単なる軍事施設ではなく、地域の政治的、経済的な中心地でもありました。その歴史を学ぶことで、当時の人々の生活や武士の権力構造を垣間見ることができます。

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