畠山尚順

畠山尚順：激動の戦国時代を駆け抜けた武将

畠山尚順（はたけやま ひさのぶ / ひさより）は、室町幕府の紀伊・河内・越中守護を歴任した戦国時代の武将です。足利氏の支流である畠山氏の一派、畠山尾州家の当主として、その生涯を激動の時代に捧げました。本記事では、畠山尚順の生涯を詳細に解説します。

生涯

明応の政変

文明7年（1475年）12月20日、畠山政長の嫡男として誕生。父・政長は応仁の乱で畠山義就（総州家）と激しい家督争いを繰り広げたことで知られています。

文明18年（1486年）7月19日、9代将軍・足利義尚から一字を賜り元服。細川政元邸で元服し、従五位下尾張守に任じられます。

延徳2年（1491年）12月、畠山義就が死去し、尾州家の優勢が確立。

延徳4年（1492年）、10代将軍・足利義材（義尹、義稙）に従い、近江への遠征（長享・延徳の乱）に参加し、武功を重ねます。

明応2年（1493年）、父・政長が足利義材を擁して河内の畠山義豊（義就の子）討伐に向かうと、尚順もこれに同行。しかし、細川政元がクーデター（明応の政変）を起こし、足利義材は捕らえられ幽閉、政長は自害。尚順は紀伊へと逃れ、畠山氏の家督は総州家の義豊に奪われます。

紀伊に逃れた尚順は、政元方の赤松政則の水軍を撃破。義豊の紀伊侵攻も退け、紀伊における尾州家の軍事的優位を維持しました。

明応4年（1495年）3月、義豊が紀伊へ侵攻するも撃退。明応5年（1496年）10月には河内へ侵攻するも失敗。しかし、紀伊での勢力拡大に尽力し、徐々に力を蓄えていきました。

反撃

明応6年（1497年）9月、河内奪還のため挙兵し、10月には高屋城を奪い、義豊を山城へ追放。大和でも尚順派の国人が蜂起し、河内・大和を奪取。明応8年（1499年）1月30日には、義豊を討ち果たしました。

同年9月、河内から摂津に侵入し、大和国人衆にも山城南部へ出陣を指示。足利義材が近江坂本に進撃するなど、三方向から政元を挟撃する好機を迎えましたが、義材が六角高頼に敗れ周防へ去ると、尚順も紀伊へ退却しました。

明応9年（1500年）9月、根来寺・粉河寺の衆徒と共に和泉岸和田城を攻撃し、細川元有・細川基経を自害に追い込みますが、赤沢朝経に敗れ、再び紀伊に没落します。

両畠山家の和睦・上洛

永正元年（1504年）、細川政元政権における内部対立を利用し、総州家の義英を義材陣営に引き込み、和睦を結び政元に対抗。しかし、永正3年（1506年）に政元と和睦した赤沢朝経に高屋城を攻略され没落。

永正4年（1507年）6月、政元が暗殺されると、9月に細川澄元の配下赤沢長経（朝経の養子）が行った大和遠征に抵抗。永正5年（1508年）1月、義英が籠もる嶽山城を落としました。

その後、細川高国と共に足利義材を奉じて上洛。同年7月、赤沢長経・古市澄胤らを破り、長経を処刑。

8月11日、将軍に復帰した足利義尹が尚順の宿所である東福寺海蔵院へ御成。義尹は尚順の功績を評価しましたが、大内義興の反感を買い、大名序列の形成は失敗に終わりました。

永正5年（1508年）頃、出家し、卜山と号します。

永正8年（1511年）、細川澄元陣営の上洛戦では苦戦するも、船岡山合戦で義稙方が勝利し、再び優勢に立ちました。

晩年

永正12年（1515年）、家督を嫡男・稙長に譲り隠居。越中と紀伊の統治に専念します。

永正17年（1520年）8月頃、紀伊で内衆の野辺慶景が謀反を起こし、敗北。堺に逃亡。

大永元年（1521年）、足利義稙が京から出奔すると、尚順は義稙支持を表明。畠山義英と和睦し失地回復を試みますが、稙長に撃退されます。

大永2年（1522年）8月17日、淡路で死去。享年48。

人物・評価

畠山尚順は、生涯を通して足利義稙の有力な支持者として活動し、激動の戦国時代を生き抜きました。その軍事的手腕と政治力は高く評価されており、室町幕府の権威維持に大きく貢献した人物として知られています。

関連人物

足利義稙
畠山政長
畠山義豊
細川政元
細川高国
大内義興

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