畠山義就

畠山義就：応仁の乱を招いた武将の生涯

畠山義就（はたけやま よしなり/よしひろ）は、室町時代後期から戦国時代前期にかけての武将、守護大名です。室町幕府の三管領家の一つである畠山氏の出身で、河内・紀伊・山城・越中の守護を歴任しました。応仁の乱を引き起こした要因の一人として、その名は歴史に刻まれています。

波乱に満ちた出自

義就の出自は複雑で、その母が多くの男性と関係を持っていたことが、彼の家督争いに影響を与えました。一説には、義就は持国（父）の実子ではないという見方も存在しました。

本来、義就は石清水八幡宮の社僧となる予定でしたが、12歳の時に父に呼び戻され、家督争いに巻き込まれます。この時、家督を継ぐはずだった叔父の持富とその子である弥三郎・政長兄弟との間で激しい対立が勃発しました。

家督争いと応仁の乱

文安5年（1448年）、義就は8代将軍足利義成（後の義政）から後継者として認められ、義成の偏諱を受け「義夏」と名乗ります。しかし、この相続は家臣らの理解を得られず、弥三郎を旗頭とする反抗勢力が形成されました。

享徳3年（1454年）、義夏は弥三郎派に襲撃され伊賀へ逃れますが、翌年には義就と改名し家督を継承しました。しかし、康正3年（1457年）には義政の怒りを買い所領を没収されるなど、その立場は安定しませんでした。

長禄3年（1459年）に弥三郎が死去すると、弟の政長が後を継ぎ、義就との対立は継続されます。長禄4年（1460年）、義就は政長に家督を奪われ、朝敵として討伐されることになります。

寛正4年（1463年）に嶽山城が陥落すると、義就は吉野へ逃れましたが、寛正4年11月に赦免されます。その後、山名宗全らの支援を得て挙兵し、文正元年（1466年）には大和から河内へ進軍しました。

文正2年（1467年）1月、義就と政長の軍勢が上御霊神社で衝突（御霊合戦）。この戦いをきっかけに、応仁の乱が勃発します。義就は西軍に属し、政長と激しい戦いを繰り広げました。

応仁の乱後

応仁の乱終結後も、義就は河内を実効支配し続けました。文明9年（1477年）には河内を制圧し、大和も掌握。河内と大和の事実上の支配者となりました。

文明14年（1482年）には細川政元と政長連合軍の追討を受けましたが、政元と和睦し、河内での支配を維持しました。しかし、山城では国人一揆が起こり、義就軍は河内へ撤退を余儀なくされました。

延徳2年12月12日（1491年1月21日）、畠山義就は54歳で死去しました。家督は次男の基家（義豊）が継承し、政長との対立はその後も続きました。

義就の人物像

畠山義就は、その出自や家督争い、そして応仁の乱という激動の時代を生きた武将です。策略と武勇に長け、時には周囲を出し抜くような行動も見られました。その生涯は、室町時代の社会の複雑さと、武士たちの生き残りをかけた戦いを象徴していると言えるでしょう。

関連人物

畠山持国
畠山政長
足利義政
細川勝元
山名宗全

参考文献

大阪府史編集専門委員会 編『大阪府史第4巻 中世編 2』大阪府、1981年。
朝倉弘『大和武士』名著出版〈奈良県史11〉、1993年。
桜井英治『室町人の精神』講談社〈日本の歴史12〉、2001年。
石田晴男『応仁・文明の乱』吉川弘文館〈戦争の日本史9〉、2008年。
福島克彦『畿内・近国の戦国合戦』吉川弘文館〈戦争の日本史11〉、2009年。

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