後藤組

後藤組について

後藤組（ごとうぐみ）は、静岡県富士宮市に本拠を置いていた暴力団で、元は指定暴力団・六代目山口組に属していました。しかし、2008年に山口組からの除籍処分を受けたことにより、後藤組は解散に至りました。その後、傘下にあった良知組と藤友会は直接山口組の直系団体として昇格しました。

組の成り立ちと歴史

後藤組の組長である後藤忠政は、かつて三代目山口組のボンノ（菅谷政雄）が興した菅谷組の幹部で、川内弘が指揮していた川内組の幹部でもありました。彼は「北陸の帝王」の異名を持ち、山口組の内部で昇進する過程で数多くの抗争を経てきました。

1970年代には、一和会との抗争が激化し、構成員が山本広の宅にダイナマイトを持ち込むという無謀な事件が発生しました。さらに、1975年に発生した拳銃乱射事件では、後藤組長を含む10人が逮捕され、組の幹部たちがほとんど服役する事態となりました。1976年には市長選挙に介入する形で、現職市長への中傷を行う怪文書を押さえ込み、1000万円を要求したことが明るみに出ます。

1990年には「八王子抗争」が勃発し、後藤組傘下の正東会が八王子での地位を確立しました。後藤組は、その後の武富士問題の影響で日本航空の主要株主となるなど、影響力を持つようになり、東京都内に多くの企業を展開しました。

有名な事件と影響

後藤組の名前が広く知られることになったのは、1992年の映画『ミンボーの女』の伊丹十三監督襲撃事件です。この事件は、監督が映画の中で暴力団を描く勇気を持ったことから始まり、結果的に襲撃を受けて全治三ヶ月の重傷を負いました。この事件は後藤組の武闘派のイメージを決定づけ、執行部によって捜査が進められ、数人の組員が有罪判決を受けます。

2005年には、渋谷区の雑居ビル所有権を巡るトラブルが発生し、ビル管理会社の顧問が刺殺される事件も起こりました。後藤組長は、電磁的公正証書不実記録の容疑で逮捕されるなど、組織の信頼性が揺らぐ事態が続きました。

解散とその影響

2008年秋、後藤組は山口組から除籍処分を受け、組長である後藤忠政は引退を表明しました。従前の傘下団体であった良知組や藤友会は、山口組の直参団体として再編成されました。この除籍処分は山口組執行部による反対勢力の一掃の一環とも見なされていますが、後藤自身が病気を理由に本部会議を欠席しながらも誕生日会を開いていたことも問題視された要因の一つです。

除籍処分の結果、後藤組以外にも井奥会や大門会などの団体が同様の処分を受け、特に井奥会と大門会には絶縁処分が下されました。警察はこの一連の動きから、後藤組と弘道会との間での抗争の可能性を懸念し、愛知県公安委員会に報告を行いました。

最高幹部の紹介

後藤組の最高幹部には、組長の後藤忠政をはじめ、若頭の良知政志や、数名の若頭補佐が名を連ねていました。それぞれが他の団体の組長や会長を務め、影響力を保持していたことが特徴的です。組織の構造は非常に複雑であり、様々な層の人間関係が築かれていました。

後藤組の歴史は、暴力団の抗争、政治への介入、そして自主的な解散など、数多くの事件と共に進展してきました。その後の組織の再編成は、暴力団の世界における力関係や、警察との関係に大きな影響を与え続けることでしょう。

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