御徒町

御徒町：歴史と文化が交差する街

御徒町（おかちまち）は、かつて東京都台東区に存在した地域名で、現在の台東・東上野に相当します。しかし、今もなお御徒町駅周辺地域は「御徒町」という通称で広く知られています。ここでは、隣接していた仲御徒町（なかおかちまち）についても触れながら、御徒町の歴史、文化、そして現代の姿を詳しく見ていきましょう。

御徒町の概要

御徒町駅を中心に、周辺5駅を含む地域は、東京の副都心である上野・浅草副都心を構成する重要な拠点の一つです。江戸時代には、久保田藩（秋田藩）がこの地域に広大な屋敷を構え、その名残は佐竹商店街などに今も残っています。

明治時代後半から大正時代にかけて、御徒町は寄席や見世物小屋が軒を連ねる、東京屈指の歓楽街として賑わいました。寿亭、蜻蛉軒、久本亭といった有名な小屋のほか、射的や玉ころがしなどの遊戯場も人気を集め、料理屋や屋台が立ち並び、多くの人々で賑わったそうです。

昭和に入り御徒町駅が開業すると、駅の西側、つまり上野広小路方面が発展しました。しかし、戦後の混乱期には、御徒町は覚醒剤（ヒロポン）の一大集散地となってしまうという負の側面もありました。1954年には、警視庁が「ヒロポン撲滅運動」の一環として御徒町の親善マーケットを急襲し、多くの麻薬密造事件を摘発、多数の逮捕者を出すという事件も起きています。

御徒町を支える交通網

御徒町駅周辺には、複数の鉄道駅が集中しており、都内各地へのアクセスが非常に便利です。

JR山手線・京浜東北線 - 御徒町駅
東京メトロ銀座線 - 上野広小路駅
東京メトロ日比谷線 - 仲御徒町駅
都営地下鉄大江戸線 - 上野御徒町駅
都営大江戸線・首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線 - 新御徒町駅

これらの駅を結ぶように、都営バスや台東区循環バス「めぐりん」も運行しており、地域住民や観光客の移動をサポートしています。

地名の由来

御徒町という地名は、江戸時代に江戸城や将軍の警護を行った下級武士、「御徒（おかち）」が多く住んでいたことに由来します。御徒は騎乗を許されない武士であり、御徒町周辺の長屋に住み、俸禄だけでは生活が苦しかったため、内職をして家計を支えていたと言われています。

現在、御徒町という町名自体は存在しませんが、台東区台東や東上野の一部として、その名は確かに息づいています。また、「御徒町」という地名は、城下町であればどこにでも存在しうる、普遍的な地名でもあります。

御徒はそれぞれ組に属し、御徒組は本丸に15組、西ノ丸に5組が存在しました。各組は頭1名、組頭2名、御徒28名で構成され、将軍の行列の先導や幕府御用の警護、江戸城内の雑用などを担当し、組単位で屋敷地を与えられ、そこで生活していました。

御徒町周辺の観光スポット

御徒町周辺には、多くの観光スポットがあります。

アメヤ横丁（アメ横）: 食料品から衣料品、雑貨まで、様々な商品が所狭しと並ぶ商店街。年末には多くの買い物客で賑わいます。
上野松坂屋: 老舗百貨店。ファッション、食品、美術品など、幅広い商品を取り扱っています。
多慶屋: 家具、家電、食品、雑貨など、あらゆる商品が揃う大型ディスカウントストア。
吉池: 新鮮な魚介類を中心とした食料品を扱う総合小売店。
キムチ横丁: 東上野コリア・タウンの一角。様々な種類のキムチや韓国食材が手に入ります。

まとめ

御徒町は、江戸時代から現代に至るまで、様々な歴史と文化が積み重なってきた魅力的な街です。かつての歓楽街としての賑わい、戦後の混乱期、そして現代の商業地としての発展。その変遷を辿ることで、東京の歴史と文化をより深く理解することができます。ぜひ一度、御徒町を訪れて、その魅力を肌で感じてみてください。

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