忍川

忍川について

埼玉県北部を流れる忍川（おしかわ）は、元荒川の支流として知られる一級河川です。この川は、特に熊谷市中心市街地周辺での流れが特徴的で、源流部分は星川と呼ばれていますが、同市の他の星川とは異なる河川です。忍川の流路は熊谷市の中心から始まり、様々な場所を経由しながら市街地を流れていることが特徴です。

流路の詳細

忍川は、その源流が熊谷市の市街地に位置しており、特に星溪園周辺で流れ出します。元々、1613年に荒川の氾濫によって形成された「玉の池」が源となり、そこから流れる清流が後に星川となりました。現在では、大里用水から分流し、人工水路として市街地を横断しています。

熊谷市の銀座エリアでは、川が再び暗渠となり、この区間も一般に星川として知られています。その後、地下から再び地上に現れると、農業用水路としての性格を帯び、国道17号を潜る地点まで流れています。

国道17号の平戸橋を境に、ここからが一級河川の忍川の始まりです。熊谷市の不動堂堰で荒川左岸幹線導水路が分かれると、川は自然な河川の風景を描きます。忍川は東へ流れながら、さらなる農業用水路との分岐を繰り返し、行田市辺りでは幾度も流路が曲がります。特に行田市駅や東行田駅の間で酒巻導水路と合流する地点は、流れの一大ポイントです。

忍川の流れは行田市の市街地を抜けた後、ほぼ真南に向かい、その東側には武蔵水路が並行する形で流れています。増水時には忍川の水が武蔵水路に放流されることもあります。鴻巣市に入ると、元荒川左岸に合流し、川の流れはさらに続きます。

旧忍川について

実は、昭和初期以前は忍川の流れは現在の流路とは異なっていました。旧忍川と呼ばれる流路は、佐間水門の上流から東流し、埼玉古墳群や古代蓮の里を流れ、野通川を交差した後に見沼代用水に合流していました。この旧流路は1730年頃に開削された人工の川であり、そのため通常は水が流れていません。

最近では、埼玉県の「水辺再生100プラン事業」の一環として、旧忍川沿いにさきたま調節池が設けられています。この施策により、遊歩道や展望デッキ、ポケットパークが整備され、地域住民が自然を楽しむ機会が増えています。

橋梁

忍川には多くの橋が架かっており、それぞれの橋が地域の交通を支えています。中でも、平戸橋をはじめとする国道17号や、様々な県道にかかる橋が存在し、地域の重要な交通路となっています。これらの橋の中には、歴史的な価値が認められた土木構造物もあり、土木学会によって選奨されています。

忍川は過去と現在が交差する場所であり、地域の歴史や文化、農業の基盤を支え続ける重要な一級河川です。その流れは単なる水路に留まらず、地域の人々の生活や自然環境にも深く関わっています。このため、忍川は埼玉県の重要な資源として、大切にされているのです。

もう一度検索