応天の門

応天の門

『応天の門』は、灰原薬による日本の漫画作品。新潮社の『月刊コミック@バンチ』で2013年12月号から連載が開始され、雑誌の変遷を経て、現在は『コミックバンチKai』で連載中です。平安京を舞台に、在原業平と菅原道真という二人の主人公が、都で巻き起こる怪奇事件を解決していくクライム・サスペンスです。

あらすじ

物語の舞台は、藤原氏が朝廷の実権を掌握しつつあった平安時代。都では、藤原氏の屋敷から下女が次々と失踪するという奇妙な噂が広まっていました。人々は鬼の仕業だと恐れましたが、帝の命を受けた在原業平は、事件の真相を突き止めるべく捜査を開始します。そんな中、下女誘拐の容疑者として、業平の縁者である紀長谷雄が捕らえられてしまいます。

長谷雄の無実を信じる業平は、彼の学友である菅原道真に協力を依頼。最初は乗り気でなかった道真も、業平に説得され、共に事件の真相を追うことになります。二人は捜査を進めるうちに、事件の背後に潜む藤原氏と伴氏の権力争いに巻き込まれていくことになります。

作品の特徴

クライム・サスペンス: 平安時代に信じられていた鬼や物の怪が引き起こす事件を、業平と道真が現代的な推理で解決していく過程が魅力です。しかし、事件の真相は常に人間の欲望や陰謀によるもので、そのギャップが物語に深みを与えています。
歴史ドラマ: 事件の背景には、藤原氏や伴氏といった有力貴族たちの勢力争いが複雑に絡み合っています。歴史上の人物や出来事を巧みに織り交ぜながら、平安時代の朝廷の権力構造や人間関係を描き出しています。
魅力的なキャラクター: 好色で人たらしな在原業平と、クールで現実主義者の菅原道真。対照的な二人の掛け合いや、それぞれの個性的なキャラクターが物語を彩っています。

登場人物

菅原道真: 学問に秀でた文章生。類まれなる洞察力で、業平の捜査に協力します。政治の世界に嫌気が差し、遣唐使として大陸に渡ることを夢見ています。
在原業平: 左近衛権少将。都の守護を務め、数々の女性と浮名を流す好色漢として知られています。事件の捜査を通して、道真との友情を深めていきます。

受賞歴・メディア展開

2017年、第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。
2024年2月時点で、単行本の累計部数は200万部を突破。
2023年に宝塚歌劇団月組によりミュージカル化。
* 2024年12月に明治座で舞台化。

監修

本作は、東京大学史料編纂所の本郷和人が監修を務めており、単行本には平安時代の文化・風俗に関する解説文が掲載されています。歴史的な考証に基づいた描写が、作品にリアリティを与えています。

『応天の門』は、歴史ファンだけでなく、ミステリーやサスペンス好きにもおすすめの作品です。平安京を舞台に繰り広げられる、業平と道真の活躍をぜひお楽しみください。

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