惣領

惣領（そうりょう）とは

惣領とは、主に中世の武家社会において、家督を相続する予定の者を指す言葉です。元々は、分割相続が行われていた時代に、一族の中で主要な所領や財産を継承した男子を指していました。この惣領は、他の男子（庶子）や女子を統率し、幕府や荘園領主に奉仕する役割を担っていました。この制度を惣領制と呼びます。

惣領制から単独相続へ

しかし、鎌倉時代後期以降、分割相続が困難になると、惣領による単独相続へと移行していきました。これにより、庶子は家臣化され、惣領は所領や財産を含む全ての権利を継承するようになりました。この変化に伴い、惣領は家督の所有者、またはその継承予定者（多くの場合、長男）を指す言葉として定着しました。

江戸時代の惣領

江戸時代に入ると、旗本や御家人の跡取りも惣領と呼ばれるようになりました。しかし、将軍や諸大名の跡取りは、惣領ではなく「御嫡」または「御嫡子」と呼ばれていました。ただし、諸藩の家臣の跡取りを「嫡子」と記した古文書も多く残っており、大名の嫡子以外の武家の跡取りを嫡子と呼ぶこともあったと考えられます。

一方で、将軍や諸大名の嫡子を惣領と呼ぶことはありませんでした。また、農家や商家では、跡取りを惣領と呼び、嫡子と呼ぶことはありませんでした。

皇室・王室における跡取り

皇室や各国王室においては、天皇や国王の跡取りを惣領や嫡子とは呼ばず、その続柄によって皇太子や皇太弟などと呼びます。

補足

嫡流：惣領の血筋を指します。
家領：惣領が受け継ぐ所領のことです。
* 部屋住み：旗本や御家人の跡取りは、家督を相続するまで「部屋住み」と呼ばれ、この期間の惣領は「部屋住み惣領」と呼ばれていました。

このように、惣領という言葉は、時代や社会階層によって意味合いが変化してきましたが、一貫して家を継ぐ者、一族を率いる者という重要な役割を表す言葉として使われてきました。

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