折りたたみスマホ

折りたたみスマホとは

折りたたみスマホとは、その名の通り、ディスプレイを折り畳むことができるスマートフォンです。これにより、コンパクトなサイズと大画面を両立させることが可能になりました。主に、画面を縦に折りたたむクラムシェル型と、横に折りたたむブック型が存在します。各メーカーは、この新しいフォームファクターで様々な製品を市場に投入しています。

概要

折りたたみスマホは、有機ELディスプレイを採用していることが多く、柔軟性を活かしたデザインが特徴です。クラムシェル型は、従来の携帯電話のように縦に折りたたむことができ、コンパクトなサイズが魅力です。一方、ブック型は、タブレット端末のように大画面でコンテンツを楽しむことができ、折りたたむことで持ち運びやすくなります。

2021年には、Galaxy Z Fold3 5GとZ Flip3 5Gで、折りたたみスマホとして初めて防水(IPX8等級)に対応し、耐久性が大きく向上しました。また、OPPO Find Nでは、画面上の折り目が目立たないような構造が採用され、技術的な進化が見られます。

一方で、折りたたみ機構やディスプレイの耐久性には課題が残ります。特に、開閉を繰り返すヒンジ部分や、折り曲げることで負担がかかるディスプレイの耐久性向上が、各メーカーの課題となっています。

「スマホ」はスマートフォンの略ですが、「折りたたみスマートフォン」よりも「折りたたみスマホ」という表記が一般的です。

画面素材

折りたたみスマホのディスプレイには、柔軟なプラスチック製のOLEDディスプレイが使用されることが多いです。これにより、ディスプレイを折り曲げることが可能になりますが、従来のガラス製ディスプレイに比べて、傷がつきやすいというデメリットもあります。

Corning社は、柔軟性のあるガラス製品を開発していますが、製造過程で使用する塩溶液がOLEDパネルのトランジスタを損傷する可能性があるため、電子ディスプレイには不向きであるとされています。しかし、同社は曲げ半径5mmの柔軟なガラスを開発中であり、今後の技術革新が期待されます。

サムスンは、Galaxy Z Flipに「超薄型ガラス」を採用していますが、実際にはプラスチック層で保護されています。このガラスは、強化プロセスを経て製造されており、耐久性を向上させていますが、YouTubeでの実験によると、モース硬度2のピックで傷が付くことが示されており、従来のスマートフォンよりも傷つきやすいという点が指摘されています。

歴史

2017年以前

折りたたみスマホのコンセプトは、2000年代から存在していました。2006年には、ポリマー・ビジョンが巻取り可能なコンセプトの折りたたみ式スマートフォンを発表しました。2008年には、ノキアがフレキシブルデバイスのコンセプトを発表し、3つ折りのデザインを提案しました。

2011年には、京セラが2つのタッチスクリーンを搭載した「Echo」を発表し、2つのアプリを同時に表示したり、1つのアプリを2つの画面にまたがって表示することが可能でした。2017年には、ZTEが同様のヒンジを備えた「Axon M」を発表し、最新のハードウェアとAndroidの改善によって、マルチタスク体験を向上させました。

薄型で柔軟性のあるOLEDディスプレイの開発は、折りたたみスマホの実現に大きく貢献しました。2013年のCESで、サムスンはフレキシブルディスプレイを組み込んだスマートフォンのコンセプトを発表し、将来の可能性を示唆しました。

2018年

2018年に入ると、折りたたみスマホの開発競争が激化しました。LGエレクトロニクスが折りたたみ式スマートフォンのデザイン特許を取得し、マイクロソフトも同様のデバイスを開発していると報じられました。サムスンもこの分野での開発を進めていました。

2018年11月、中国の新興企業Royoleが、初の市販折りたたみスマホ「Royole Flexpai」を発表しました。これは、ディスプレイが外側に露出するデザインでした。サムスンも同月末にプロトタイプを発表し、内側にディスプレイを配置した冊子スタイルのレイアウトを示しました。同時に、Androidのエンジニアリング担当副社長は、プラットフォームの次期バージョンで折りたたみデバイスのサポートを強化すると発表しました。

2019年

2019年1月、シャオミが折りたたみスマホのプロトタイプを公開し、内側に折りたたむデザインを示しました。サムスンは2月にGalaxy Foldを正式発表し、ファーウェイもMate Xを発表しました。しかし、Galaxy Foldはレビュー機でディスプレイの故障が相次ぎ、発売が延期されました。

モトローラは、かつてのフィーチャーフォン「Razr」を彷彿とさせる縦に折りたたむことが可能な「Razr」を発表しました。サムスンも同様のGalaxy Z Flipを発表し、折りたたみスマホの多様化が進みました。

2020年

2020年には、ファーウェイがMate Xの改良版であるMate Xsを発表し、サムスンもGalaxy Z Fold 2を公開しました。

2021年

2021年には、ファーウェイがMate X2を発表し、シャオミがMi MIX Foldを発表しました。また、サムスンはGalaxy Z Fold 3とGalaxy Z Flip 3を発表し、OPPOがFind Nを発表しました。

2022年

2022年には、VivoがX Foldを発表し、シャオミがMIX Fold 2を発表しました。また、サムスンはGalaxy Z Fold4とGalaxy Z Flip4を発表しました。モトローラは、Moto Razr 2022を発売しました。

2023年

2023年には、GoogleがPixel Foldを発表し、モトローラが新型Razrを発表しました。

主なメーカー

現在、折りたたみスマホを製造している主なメーカーは以下の通りです。

Google
Honor
ファーウェイ
モトローラ・モビリティ
OnePlus
OPPO
サムスン電子
Vivo
Xiaomi
ZTE

世界の状況

世界市場では、サムスンの折りたたみスマホが圧倒的なシェアを誇っています。

日本の状況

日本では、2019年にSamsung Galaxy Z Foldがauから発売された後、2023年にはmotorola razr 40 UltraやGoogle Pixel Foldが発売されました。クラムシェル型とブック型の両方が販売されており、消費者の選択肢が広がっています。

クラムシェル型

Galaxy Z Flip (サムスン)
Motorola RAZR (モトローラ・モビリティ)
ZTE Libero Flip

ブック型

Galaxy Fold (サムスン)
* Google Pixel Fold (グーグル)

今後、折りたたみスマホの技術はさらに進化し、より使いやすく、耐久性の高い製品が登場することが期待されます。

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