揮発性有機化合物

揮発性有機化合物（VOCs）とは

揮発性有機化合物、略してVOCs（Volatile Organic Compounds）は、常温・常圧において大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称です。例えば、トルエンやベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなどが含まれ、これらは一般的に溶剤や燃料として広く利用されています。しかし、これらの化合物が環境中に放出されると、様々な公害を引き起こす可能性があり、特に健康への影響が問題視されています。

近年では、ホルムアルデヒドが原因によるシックハウス症候群や化学物質過敏症が社会的に注目されており、こうした健康被害の認知度が高まっています。日本国内においては、2000年度におけるVOCsの排出量は、年間150万トンに達していました。このため、VOCsは光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の主な原因と見なされており、2004年には改正大気汚染防止法が施行され、主要な排出施設に対する規制が開始されました。

VOCsの定義

世界保健機関（WHO）は、VOCsを具体的に定義しており、これにはすべての揮発性有機化合物が含まれています。また、総揮発性有機化合物（TVOC; Total Volatile Organic Compounds）という用語もVOCsを総称する際に使用されます。ホルムアルデヒドは、非常に揮発性が高く、VVOCに分類されるものの、健康影響の観点から独自の基準を設けている場合が多いです。

日本におけるVOC削減の取り組み

日本では経済産業省が、事業者によるVOC排出削減を促進するために様々な取り組みを行っています。「環境リスク対策合同ワーキンググループ」が設置され、自主的な行動計画が策定されています。また、NEDO（独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）では、VOC排出抑制に寄与する技術開発や、有害化学物質削減のための支援ツールの開発が行われています。

さらに、環境省では2006年からVOC排出インベントリの検討会を設置し、発生源ごとのVOCsの排出量や削減量を調査しています。これによって排出状況を把握し、対策を実施しています。他にも、液体窒素などを利用した溶剤回収システムを提供する事業者も存在し、業界全体での環境保護への取り組みが進められています。

関連項目

揮発性有機化合物に関連した用語や法律には、溶媒、炭化水素、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法などがあります。また、シックハウス症候群や室内空気質、PRTR（物質管理の法律）なども、VOCsと関連しています。これらの対策を講じながら、私たちは持続可能な社会を目指す必要があります。

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