新東宝

新東宝株式会社の歴史

新東宝株式会社（しんとうほう）は、かつて東京で活動していた日本の映画会社です。1947年に創業され、1961年に倒産するまでの間に多くの映画を製作し、日本の映画界に重要な足跡を残しました。

創業から初期の作品

新東宝は、1947年3月に株式会社新東宝映画製作所としてスタートし、翌年の1948年4月には正式に株式会社新東宝として設立されました。この期間中、新東宝は800本以上の映画を製作し、特に初期は文芸作品に力を入れました。その中でも、ヴェネツィア国際映画祭で国際賞を受賞した『西鶴一代女』などが高く評価され、名声を得ました。しかし、徐々に娯楽性の高い「エログロ」路線に移行していきました。

大争議と新東宝の設立

新東宝の設立の背景には、戦後の東宝大争議があります。1946年11月、主要な俳優たちが集まり「十人の旗の会」を結成し、東宝の労働組合を脱退しました。その後、東宝撮影所の敷地外に新たに撮影所を設け、1947年には新東宝映画製作所を設立。この新会社の設立は、労働争議による制作者側の反発から生まれたものでした。初年度の作品には『東宝千一夜』や『さくら音頭 今日は踊って』などがあり、これらは東宝のプログラムを埋めるために制作された映画です。

1950年代の繁栄と大蔵貢の登場

1955年、元活動弁士の大蔵貢が経営に関与し、新東宝を実質的に買収しました。彼の厳格な経営方針の下、新東宝は「安く、早く、面白く」をモットーにした映画製作を進め、渡辺邦男監督による『明治天皇と日露大戦争』は大ヒットを記録しました。しかし配給網の弱さから、利益を他社に取られることが多く、経営は次第に悪化していきました。

倒産とその後の展開

1961年、経営不振により新東宝は倒産。この時、同社の作品の放送権がNHKや民放に売却され、多くの映画が放映されました。倒産後、清算会社へ移行し、配給部門は大宝株式会社として新たに設立されました。製作部門はニッポン・アートフィルム・カンパニーに分割され、後に国際放映株式会社へと変わり、旧新東宝の作品の権利を継承しました。

新東宝映画の流れ

新東宝の影響は、さまざまな形で日本映画界に残っています。新東宝興行株式会社や新東宝映画株式会社がそれぞれ異なる形で存在し、後者はピンク映画として知られるジャンルで取り組んでいます。新東宝は、映画の自主制作や新しい試みを模索し続けました。

まとめ

新東宝株式会社は、日本の映画史において欠かせない存在です。多くの名作を生み出し、映画業界に影響を及ぼしたその活動は、現代の映画にも様々な形で影響を与える要因となっています。映画産業の変化の中で、新東宝の歴史は今もなお研究や評価の対象として残り、当時の情勢や作品の価値を探求する手助けとなっています。

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