日本神学校

日本神学校

日本神学校（にほんしんがっこう、英語: Japan School of Theology）は、1930年から1943年の短い期間、日本の首都である東京に存在したプロテスタントの神学校です。特に日本基督教会（長老派）が中心となって運営されましたが、特定の教派にとらわれない超教派的な教育機関としての性格も持ち合わせていました。

設立とその歩み

その歴史は、1930年4月11日に始まりました。日本のプロテスタント神学教育において重要な役割を担っていた明治学院神学部と、著名な神学者である植村正久が1904年に創設した東京神学社が合併し、日本神学校が設立されたのです。開校当初、学校は東京市淀橋区角筈にあった旧明治学院神学部の校舎を暫定的に使用しました。学校の規模は次第に拡大し、1937年には東北学院神学部も合流し、より多くの学生を受け入れる体制が整えられました。

日本神学校は、設立母体である日本基督教会以外の教派からも学生を受け入れており、例えば同盟基督協会からも木下弘人、白川藤太郎、相沢良一といった人物がこの学校で神学を修めました。設立当初、校長は川添万寿得が務め、高倉徳太郎が教頭を担当しました。教員陣には、桑田秀延、植村環、村田四郎、熊野義孝といった日本の著名な神学者や、海外からの宣教師であるA.K.ライシャワーらが名を連ねており、充実した教育体制が築かれていました。

新校舎の建設

学校の発展に伴い、より適切な教育環境の整備が計画されました。1937年には、かつて東京神学社が校舎を構えていた東京市麹町区富士見町の地に、新たな校舎が建設されました。この建物は、長谷部竹腰建築事務所が設計と監督を担当し、大倉土木が建設を請負ったもので、延床面積は2,500平方メートルを超える近代的な校舎でした。この新しいキャンパスには、日本基督教会の本部事務所も併設され、教団の中心と神学校が一体となった拠点となりました。

終焉と歴史的意義

しかし、日本神学校がその教育活動を続けられたのは、わずか13年間でした。時代は太平洋戦争へと向かい、国家による統制が強まる中、日本のプロテスタント教会は合同を迫られます。1941年4月には、多くの教派が合同して日本基督教団が成立しました。この流れの中で、神学校もまた再編の対象となりました。

1943年、日本神学校は、日本基督教団の政策に従い、日本の東部地域に存在した他の主要な神学校群との統合を余儀なくされます。具体的には、青山学院神学部、日本バプテスト神学校、日本ルーテル神学専門学校、聖公会神学院、東亜神学校、日本一致神学校、東光学院といった様々な教派の神学校と共に、新たに設立された「日本東部神学校」へ合流することとなり、これにより日本神学校はその歴史に終止符を打ちました。

日本神学校が存在した期間は短かったものの、明治学院神学部や東京神学社といった伝統ある学校の流れを汲み、戦前の激動期における日本のプロテテスタント神学教育において重要な役割を果たしました。歴代校長には、川添万寿得（1930年-1932年）、高倉徳太郎（1932年-1933年）、そして廃校まで務めた村田四郎（1933年-1943年）がいました。この学校の教職員や卒業生の中には、戦後の日本の教会や学術界で活躍した人物が少なくありません。

なお、現代において名古屋市に「専門学校日本神学校」という同名の学校が存在しますが、これは改革長老派によって2010年に設立された教育機関であり、戦前に東京にあった日本神学校とは組織として直接的な連続性はありません。戦前の日本神学校の歴史は、日本の近代キリスト教史、特に戦時下の教会合同政策を知る上で欠かせない一章と言えるでしょう。

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