春日丸

春日丸（かすがまる）

春日丸は、幕末から明治にかけて日本で活躍した軍艦です。この艦船は木製の外輪船で、慶応3年に薩摩藩がイギリスから購入しました。当時としては非常に大きく、高速であり、最高速の16ノットを誇っていました。春日丸は、薩摩藩時代にいくつかの重要な海戦に参加しており、歴史的な役割を果たしました。

概要

春日丸の艦名は、その原名である「キャンスー（Kiangsu）」が中国の江蘇省の英語名に由来しています。薩摩藩では、藩内にある春日山に由来する名前が付けられました。この艦は、明治3年に薩摩藩から新政府に献納され、明治5年に海軍省の艦船となりました。

春日丸は、阿波沖海戦、宮古湾海戦、函館湾海戦に参加し、西郷従道や東郷平八郎などの著名な軍人もこの艦に乗艦していました。明治8年の江華島事件にも関与し、韓国と日本の外交史にも重要な役割を果たしました。

艦の特徴

春日丸は3本のマストと2本の煙突を持つ木造船で、効率的に設計されていました。実際には、燃料消費を考慮して、通常の航行速度は9ノットに設定されていました。この艦は、明治初期の艦船において、特に特徴的だった揺動式の機関を搭載しており、特に注目されました。

艦歴

春日丸の艦歴は非常に多彩です。イギリスから購入された当初、艦は「キャンスー」として建造され、清国海軍向けに設計されていましたが、清国が受け取りを拒否したため、日本に渡ることになりました。購入後の1867年には、艦船として正式に就役しました。

阿波沖海戦

1868年、春日丸は阿波沖海戦に参加しました。この海戦では、薩摩藩の艦船が敵対勢力に対して抵抗し、歴史的な戦いとなりました。春日丸はこの戦いで多くの活躍を見せ、その名が広まりました。

宮古湾海戦

その後、春日丸は宮古湾海戦にも参加しました。この戦では幕府の軍艦に対して新政府艦船が挑み、春日丸がその主力となりました。

函館湾海戦

1869年には函館湾海戦にも参加し、旧幕府軍との戦いに深く関与しました。この戦においても、春日丸は様々な艦船と共に戦い、その結果、旧幕府軍は降伏することになりました。

明治時代の役割

春日丸は明治時代にさらに重要な役割を果たしました。明治5年に日本海軍の一員となった後、朝鮮へ派遣されるなど海軍の活動に寄与しました。特に、江華島事件の際には外交交渉に伴う派遣艦隊に属し、日本の国際関係にも貢献しました。

除籍とその後

1881年、春日丸は除籍され、以降は雑役船としての扱いを受けました。最終的には1902年に売却され、歴史の舞台から姿を消しました。この艦の歴史は、幕末から明治にかけての日本の海軍の発展を象徴するものであり、その重要性は今でも語り継がれています。

春日丸は単なる艦船ではなく、当時の日本が直面していた政治・歴史的背景を反映する存在であり、多くの海戦を乗り越え、海軍の進化を助けた歴史的な軍艦として今なお評価されています。

もう一度検索