本格ミステリ大賞

本格ミステリ大賞：日本の本格ミステリを牽引する賞

本格ミステリ大賞は、2001年に創設された、本格ミステリ作家クラブ主催の文学賞です。日本のミステリ界において重要な位置を占め、年間で最も優れた本格ミステリ作品を表彰することで、このジャンルの発展に大きく貢献しています。

選考方法：会員投票による厳正な審査

毎年1月末には、本格ミステリ作家クラブ会員によるアンケート調査が行われます。その結果を元に、予選委員が候補作品を5作品に絞り込み、2月に発表します。その後、会員は5作品全てを精読し、独自の選評を付けて投票を行います。5月中旬には公開開票式が行われ、大賞が決定。授賞式は6月中旬に開催されます。

会員による選評は、2020年までは『ジャーロ』（光文社）、2021年からは『紙魚の手帖』（東京創元社）に掲載されており、選考過程の透明性と、作品に対する多角的な評価を知る上で貴重な資料となっています。

選考対象となるのは、単行本化された作品に限られます（評論・研究部門は雑誌掲載作品なども対象）。また、特に優れた短編作品は、『本格ミステリ○○ 20○○年本格短編ベスト・セレクション』（講談社ノベルス）に収録される形で表彰される場合があります。

受賞：栄誉と未来への展望

小説部門と評論・研究部門の受賞者はもちろん、過去には特別賞も設けられており、ミステリ界に多大な貢献をした作家たちが表彰されてきました。受賞者には、京極夏彦氏デザインのトロフィーが授与されます。これは、単なる賞としての価値を超え、日本のミステリ界における象徴的な存在となっています。

関連書籍：選評や受賞作を振り返る

大賞の歴史と作品を深く理解するために、関連書籍も数多く出版されています。例えば、『本格ミステリ大賞全選評 2001―2010』（光文社）は、第1回から第10回までの選評を網羅しており、選考の過程や選考委員の考えを知る上で重要な資料です。『本格ミステリの本流 本格ミステリ大賞20年を読み解く』（南雲堂）は、第20回までの小説部門受賞作・受賞作家についての評論集で、大賞の歴史を多角的に考察する上で役立ちます。

本格ミステリ大賞の意義

本格ミステリ大賞は、単なる賞に留まらず、本格ミステリというジャンルを活性化し、発展させる役割を担っています。会員投票による厳正な審査、公開された選評、そして質の高い受賞作品群は、ミステリ愛好家のみならず、作家や評論家にも大きな影響を与え続けています。今後も、日本のミステリ界を牽引していく存在として期待されています。

その他のミステリ賞

本格ミステリ大賞以外にも、日本推理作家協会賞、週刊文春ミステリーベスト10、このミステリーがすごい!、ミステリが読みたい!、文庫翻訳ミステリー・ベスト10、黄金の本格、本格ミステリこれがベストだ!、東西ミステリーベスト100など、多くのミステリ賞が存在し、それぞれに特徴があり、日本のミステリ界を彩っています。

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