本間資忠

本間資忠（ほんま すけただ）

本間資忠は、鎌倉時代末期に活躍した武将であり、相模国（現在の神奈川県）を拠点とした小野氏の一族です。父である本間資貞の嫡子として生まれました。本間氏は、鎌倉幕府を支える有力御家人として歴史に名を刻んでいます。

生涯

本間資忠は、父・資貞と共に北条氏に忠誠を誓い、元弘の乱（1331年 - 1333年）では、楠木正成率いる反幕府勢力との戦いに身を投じました。特に、河内国（現在の大阪府）の赤坂城を巡る戦い（上赤坂城の戦い）では、父・資貞や人見光行らと共に、楠木正成が守る城を攻めるという、非常に厳しい状況に直面しました。この戦いは、鎌倉幕府と反幕府勢力との間で繰り広げられた激戦の一つであり、本間資忠にとっても、その武将としての力量と忠誠心が試される場となりました。

元弘3年/正慶2年（1333年）2月2日、戦の最中に父・資貞が討ち死にしてしまいます。資忠は、戦場で父の首級を自ら探し出し、手厚く埋葬しました。その後、資忠は天王寺の鳥居の右柱に、辞世の句を書き残しました。

>「待てしばし 子を思ふ闇に 迷ふらん　六の街の 道しるべせん」

この辞世の句は、「父の霊よ、しばらく待っていてください。父はきっと、私を思うあまり、あの世への道に迷っていることでしょう。私が、六道の道標となって導きます」という意味であり、父への深い愛情と、自らの死をも覚悟した悲壮な決意が込められています。辞世の句を書き残した後、本間資忠は単身で敵陣に突撃し、奮戦むなしく討ち死にを遂げました。資忠の最期は、その武勇と父への深い愛情を物語る、非常に悲劇的なものでした。

人物像

本間資忠は、父の資貞とともに北条氏に忠義を尽くした武将であり、その武勇は、敵である楠木正成も認めざるを得なかったでしょう。しかし、資忠の最も特筆すべき点は、その父を思う深い愛情にあります。父の死に直面した時、復讐に燃えるのではなく、父の霊を慰め、その道標となろうとした行動は、戦国武将としてだけではない、人間としての資忠の心の奥深さを感じさせます。本間資忠の最期は、鎌倉時代末期の動乱の中で散った、多くの武士たちの悲劇を象徴する出来事の一つであり、後世に語り継がれるべき物語です。

関連項目

鎌倉時代
元弘の乱
楠木正成
北条氏
上赤坂城の戦い
辞世の句

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