本間氏

本間氏：多様なルーツを持つ一族の歴史

本間氏は、日本の歴史に名を残す複数の氏族です。ここでは、特に著名な佐渡本間氏、酒田本間氏、豊後本間氏について、そのルーツ、歴史、特徴を詳しく解説します。

1. 佐渡本間氏

概要

佐渡本間氏は、鎌倉時代から戦国時代にかけて佐渡国を支配した氏族で、武蔵七党横山党海老名氏の流れを汲みます。相模国愛甲郡依知郷本間をルーツとし、鎌倉時代に大佛氏の守護代として佐渡に入った本間能久を祖とします。雑太城を本拠に勢力を拡大し、いくつかの分家を形成しました。

歴史

鎌倉時代～室町時代: 佐渡国守護代として勢力を確立。
永正の乱: 長尾為景を匿い、その勢力拡大に貢献。越後国に領地を与えられる。
戦国時代: 河原田本間家、羽茂本間家が台頭し、内部抗争が激化。惣領家の雑太本間家は衰退。
上杉氏との対立: 上杉謙信の死後、上杉景勝と対立。蘆名氏、最上義光と結び反上杉の姿勢を示す。
豊臣秀吉による討伐: 天正17年（1589年）、豊臣秀吉の命を受けた上杉景勝により討伐。上杉氏に従った一部の本間氏は、佐渡を離れ越後、会津、米沢へ移住。

本拠地

雑太城（惣領家）：佐渡市竹田。別名「檀風城」。
河原田城（河原田家）：佐渡市石田。別名「獅子ヶ城」。新潟県立佐渡高等学校が跡地。
羽茂城（羽茂家）：佐渡市羽茂本郷。県史跡。

家紋

表紋：○に本（酒田本間家と同じ）
裏紋：十六目結

主な当主

本間能久から始まり、本間忠綱、本間宗忠、本間泰定、本間頼直、本間泰宣、本間有直、本間直冬、本間有重、本間重直、本間泰重、本間泰直、本間泰時、本間有泰、本間泰高、本間憲泰と続きます。

中興本間家

佐渡本間氏の嫡流である雑太家の流れを汲む中興本間家は、本間四郎左エ門泰秀が雑太本間家の家督を継承し、その子孫は佐渡奉行所地役人として活躍しました。現在も子孫が佐渡市中興に在住し、350年以上の歴史を繋いでいます。

2. 酒田本間氏

概要

酒田本間氏は、佐渡本間氏の分家で、山形県酒田市を中心に発展した大庄屋・豪商です。農地解放まで日本最大の地主として知られ、「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」と謳われるほどの隆盛を誇りました。

歴史

創業: 1689年（元禄2年）、本間久右衛門の息子（または番頭）である原光が「新潟屋」を創業。
光丘の功績: 3代当主本間光丘は、庄内藩の財政再建に貢献し、防砂林の植林を推進。また、備蓄計画を立案し、飢饉対策に尽力。
金融業への進出: 大名貸しを行い、東北地方の多くの大名家から借入の申し込みを受ける。得られた利益を元に土地を拡大。
北前船交易: 北前船交易の隆盛により、三井家・住友家に匹敵する大商家へ成長。
戊辰戦争: 佐幕派の庄内藩を支援し、多額の資金を献上。
明治維新後: 政府から多額の賠償金を求められるも、大地主として存続。
農地改革: 第二次世界大戦後、GHQの農地改革により農地を失う。
現代: 本間物産は倒産後、伏見屋の子会社となる。不動産関連は本立信成として現存。

主な当主

本間原光から始まり、本間光寿、本間光丘、本間光道、本間光暉、本間光美、本間光輝、本間光弥、本間光正、本間真子、本間万紀子と続きます。

関連人物

本間宗久：光寿の弟。「相場の神様」「出羽の天狗」と称される。
本間北曜：葛飾北斎の弟子。薩摩藩開成所の英語教師。
本間耕曹、本間光義、池田藤八郎：衆議院議員。
本間重三：公選初代酒田市長。
本間光勇：本間家宗家農政担当。西荒瀬村長。山形県会議員。
本間元也：本間家宗家農政担当。酒田市史編纂委員会委員長。酒田市議会議長。
本間順治：本間美術館初代館長。
本間敬啓、本間裕朗、本間秀一：本間ゴルフ社長。

3. 豊後本間氏

豊後本間氏は、大友氏の支族で、豊後国を本拠とした氏族です。詳細は不明な点が多いですが、大友氏の勢力下で活動したと考えられます。

本間氏は、佐渡、酒田、豊後と、それぞれの土地で独自の歴史を刻んできました。特に佐渡本間氏と酒田本間氏は、その地域社会に大きな影響を与えた一族として、今もその名を知られています。

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