本願寺

本願寺：歴史と派閥、そして全国の寺院

「本願寺」という名称は、日本各地の寺院に見られますが、一般的には浄土真宗（真宗）各派の本山寺院を指します。その起源は、親鸞聖人の廟堂に亀山天皇が下賜した「久遠実成阿弥陀本願寺」という寺号に遡るとされています。

本願寺の分裂と派生

16世紀末、本願寺は東西両派に分裂しました。その後、20世紀後半には「お東騒動」と呼ばれる事件が東本願寺（真宗大谷派）を揺るがし、さらなる分裂を引き起こしました。この派閥争いは、現在でも浄土真宗各派の異なる歴史と信仰のあり方に影響を与え続けています。

主要な本願寺

西本願寺（龍谷山本願寺）： 京都市下京区に位置する浄土真宗本願寺派の本山。豊臣秀吉の寄進による寺域を有し、壮大な伽藍を誇ります。
東本願寺（真宗本廟）： 京都市下京区に位置する真宗大谷派の本山。徳川家康の寄進により建立され、西本願寺と並んで浄土真宗を代表する寺院です。1987年までは正式名称が「本願寺」でした。
浄土真宗東本願寺派本山東本願寺： 東京都台東区にある浄土真宗東本願寺派の本山。お東騒動を契機に真宗大谷派から独立しました。
本山本願寺： 京都市山科区を拠点とする寺院。お東騒動によって真宗大谷派から離脱し、独自の宗派を形成しています。
嵯峨野本願寺： 京都市右京区にある寺院。お東騒動後、大谷派から離脱した大谷暢道によって設立されました。
築地本願寺： 東京都中央区築地にある浄土真宗本願寺派の寺院。西本願寺の直轄寺院であり、西本願寺法主が住職を兼務しています。

分裂以前の本願寺と各地の本願寺

歴史的には、大谷本願寺（大谷廟堂を寺格化した本願寺）、山科本願寺、石山本願寺、鷺森本願寺、貝塚本願寺、天満本願寺など、様々な場所に本願寺が存在しました。これらの多くは、戦乱や移転、そして派閥分裂によってその歴史に幕を閉じ、現在では別院や関連寺院、あるいは跡地のみが残っているケースが多いです。

浄土真宗以外の「本願寺」

「本願寺」という名称は、浄土真宗以外の宗派の寺院にも見られます。東京都品川区、東京都府中市、京都府京丹後市、そして福岡県、千葉県、兵庫県など、全国各地に浄土宗、時宗、新真言宗など様々な宗派の寺院が「本願寺」を名乗っています。これらの寺院は、それぞれ独自の歴史と背景を持っています。

海外の本願寺

かつては台湾、上海、満州などにも本願寺が存在していましたが、現在は廃寺となっています。一方、ハワイやブラジルには現在も本願寺の別院が存続しています。

まとめ

「本願寺」という名称は、日本の仏教史、特に浄土真宗の歴史と深く結びついています。派閥の分裂や各地への移転、そして浄土真宗以外の寺院における名称の使用など、その歴史は複雑で多岐にわたります。この記事では、その歴史の断片を辿ることで、本願寺が持つ多様な側面の一端を垣間見ることができました。しかし、各寺院の詳細は、それぞれの宗派や歴史書を参照することでより深く理解できるでしょう。

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