天満本願寺

天満本願寺：大阪の礎を築いた寺院

天満本願寺は、かつて大阪府大阪市北区天満に位置した浄土真宗の寺院であり、中島本願寺、川崎本願寺とも呼ばれていました。この寺院は、大阪の歴史において重要な役割を果たしました。

石山合戦後の本願寺

1580年（天正8年）の石山合戦の講和後、本願寺は織田信長に石山本願寺を明け渡し、紀伊国鷺森本願寺、和泉国貝塚本願寺へと拠点を移しました。その後、豊臣秀吉が1583年（天正11年）から大坂城の築城と城下の整備に着手する中で、1585年（天正13年）に顕如を天満に呼び戻し、寺地を寄進して天満本願寺を造営しました。

天満移転の背景

上場顕雄は、天満移転の背景について以下の可能性を指摘しています。

織田政権と対決した一向一揆の勢力が弱まり、本願寺の組織力・軍事力が低下したと秀吉が判断した。
秀吉が本願寺と一向一揆を警戒し、自らの監視下に置くために本願寺を移転させた。
秀吉が浄土真宗の門徒である商工業者の経済力・技術力を評価し、大坂城下の発展に役立てようとした。
秀吉が好意的な配慮から、石山本願寺に近い天満の地を本願寺に提供した。

天満本願寺の立地と寺内町

天満本願寺は大川に面し、現在の造幣局付近に位置していました。寺の西側には、大坂城下の整備と並行して寺内町が形成されました。この寺内町は、後の天満の発展の基盤となりました。

京都移転とその後

1591年（天正19年）、本願寺は秀吉から京都堀川六条に寺地を寄進され、移転しました。天満本願寺の跡地には、東西分裂後の1601年（慶長6年）に天満別院が置かれましたが、1608年（慶長13年）に東天満1丁目の現在地へ移転しました。また、天満本願寺の跡地付近には、大坂の陣後の1616年（元和2年）に川崎東照宮が創建されましたが、1873年（明治6年）に廃社となりました。

天満の発展

京都移転後も、天満寺内は大坂城下とは別の町として扱われていましたが、大坂城下が江戸幕府直轄地となる1619年（元和5年）頃から大坂城下の一部とみなされるようになりました。その後、天満組という町組も組織され、大坂三郷と呼ばれる大坂城下の一画を担うまでに発展しました。天満市街地は、天満本願寺の寺内町が基になったと考えられています。

天満本願寺は、その存在を通じて大阪の都市形成に深く関わり、現在もその歴史を物語る地名や文化が残っています。

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