東武小泉線

東武小泉線

東武小泉線は、群馬県館林市の館林駅と、邑楽郡大泉町の西小泉駅、および太田市の太田駅と大泉町の東小泉駅を結ぶ、東武鉄道の鉄道路線です。駅ナンバリングでは「TI」の路線記号が用いられています。

沿線には多くの工場が立地しており、東武佐野線と同様に、工場への通勤客が主な利用者となっています。本項では、かつて西小泉駅から仙石河岸駅まで存在した貨物線、仙石河岸線についても触れます。

路線データ

路線距離:
館林駅 - 西小泉駅間: 12.0km
太田駅 - 東小泉駅間: 6.4km
軌間: 1,067mm
駅数: 9駅（起終点駅含む）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: 全線（直流1,500V）
最高速度: 75km/h
保安装置: 東武形ATS
利用客数: 2,130人（2007年）
収支: 1億3000万円の黒字
営業係数: 83.7

館林駅 - 東小泉駅 - 太田駅 - 足利市駅 - 館林駅は東武鉄道で唯一の環状区間を形成しています。環状区間内の駅を発着する乗車券・定期券を持つ場合、券面表示の経路に関わらず、途中下車しない限り迂回して乗車できます。運賃計算には、館林駅 - 東小泉駅 - 太田駅間を伊勢崎線経由で計算した20.1kmが用いられます（実キロは16.2km）。

運行形態

ワンマン運転の普通列車のみが、館林駅 - 西小泉駅間と、桐生線赤城駅 - 太田駅 - 東小泉駅間で運行されています。上り方面の最終列車の1本前には、西小泉駅発東小泉駅行きの区間列車が設定されており、東小泉駅で約3分停車後、赤城方面の最終列車として折り返します。桐生線直通列車は太田駅で時間調整を行うため、停車時間が長く、約20分停車することもあります。

過去には、西小泉駅 - 太田駅間の直通列車、西小泉駅 - 伊勢崎駅間の伊勢崎線直通列車、西小泉駅 - 赤城駅間の桐生線直通列車、館林駅 - 太田駅間の直通列車も運行されていました。また、赤城行き（復路は久喜行き）の貨物列車も小泉線を経由して運行されていました。さらに、2003年3月18日まで、沿線学校の通学客向けに、館林駅 - 成島駅間を結ぶ区間列車が平日のみ運行されていました。館林駅 - 太田駅間を直通利用する場合、東小泉駅での乗り換え時間によっては、足利市駅経由よりも早く到着することもあれば、遅くなることもあります。乗換駅である東小泉駅は、島式ホーム1面2線構造で、乗り換え時の跨線橋の昇降は不要です。車内には、伊勢崎線系統の主要列車時刻表が掲示されています。

使用車両

現在の車両

以下の2車種が、小泉線、佐野線、桐生線（当線太田 - 東小泉間直通）の3路線で共通使用されています。

10000系（南栗橋車両管区春日部支所所属・2両ワンマン編成）
8000系8500型（南栗橋車両管区春日部支所所属・2両ワンマン編成）

過去の車両

モハ1600形（館林 - 西小泉・太田 - 東小泉、1972年撤退）
3050系（館林 - 西小泉・太田 - 東小泉、1996年4月29日撤退）
5000系・5050系（館林 - 西小泉・太田 - 東小泉、2006年3月17日撤退）
1800系通勤化改造車（館林 - 西小泉、2006年7月3日撤退）

歴史

小泉線の前身は、1917年3月12日に館林 - 小泉町間で営業を開始した中原鉄道小泉線でした。中原鉄道は1922年に上州鉄道と改称され、軽便鉄道から地方鉄道となりましたが、1937年に東武鉄道に買収され、東武鉄道小泉線となりました。

その後、小泉町駅と仙石河岸駅を結ぶ仙石河岸貨物線が開業し、途中に新小泉駅が開設されました。付近には、富岡氏が支配した小泉城や、富岡氏から分かれた小泉氏発祥の地があります。

1941年6月1日には、中島飛行機小泉製作所への輸送のため、太田 - （現）東小泉間が開通し、小泉信号所（現・東小泉駅）が設けられました。同駅は翌1942年4月に東小泉駅と改称し、旅客営業を開始しました（代わりに小泉町駅での旅客営業は中止）。同年12月1日には、仙石河岸線に西小泉駅が開設され、中島飛行機小泉製作所の玄関駅となりました。

さらに、軍の要請により仙石河岸線の新小泉駅から利根川を渡り、埼玉県側の妻沼駅で熊谷線と接続する計画も立てられ、一部着手されましたが、第二次世界大戦の終結により工事は中断しました。戦後、工事再開も検討されましたが実現せず、1974年に免許が取り下げられました。その後、西小泉駅以南の仙石河岸貨物線は1976年に廃止され（跡地は遊歩道「いずみ緑道」に転用）、熊谷線も1983年に非電化のまま廃止されました。

東小泉駅は、1955年に再び信号所となりましたが（代替として小泉町駅での旅客営業を再開）、1977年の西邑楽高校開校に合わせて旅客営業を再開し、小泉町駅とともに現在に至っています。東小泉駅が信号所だった時代は、西小泉 - 太田間と西小泉 - 館林間での乗り換え専用の乗降場であり、乗下車駅としては利用できませんでした。

太田 - 東小泉間では、2003年3月19日にワンマン運転が開始され、2006年3月18日からは桐生線との直通運転が開始されました。また、館林 - 西小泉間でも2006年9月28日からワンマン運転が開始され、小泉線は全区間でワンマン運転が行われるようになりました。

年表

1917年（大正6年）3月12日: 中原鉄道が館林 - 小泉町間を開業。
1922年（大正11年）2月20日: 中原鉄道が上州鉄道へ商号変更。
1926年（大正15年）3月18日: 成島駅開業。
1928年（昭和3年）12月10日: 目車駅開業。
1931年（昭和6年）11月10日: 瘤観音駅開業。
1933年（昭和8年）3月1日: 狸塚駅開業。
1937年（昭和12年）
1月10日: 東武鉄道が上州鉄道の鉄道事業を譲受。
8月4日: 鉄道免許状下付（貨物支線 邑楽郡小泉町-同郡大川村間）
1939年（昭和14年）4月13日: 仙石河岸線 小泉町 - 仙石河岸間開業（貨物線）。
1941年（昭和16年）
6月1日: 太田 - 小泉町間が開業。
6月1日: 小泉信号所 - 太田間旅客運輸営業開始
7月10日: 小泉町 - 西小泉間旅客運輸営業開始
8月1日: 小泉信号所-太田間貨物運輸営業開始
12月1日: 小泉信号所（現在の東小泉駅）開設。
12月25日: 目車駅・狸塚駅・瘤観音駅廃止。
1942年（昭和17年）
4月1日: 小泉信号所を旅客駅に変更し、東小泉駅開業。
5月10日: 竜舞駅開業、小泉町駅旅客営業廃止。
1943年（昭和18年）
5月16日: 太田 - 西小泉間電化。
10月19日: 館林 - 東小泉間電化。
1945年（昭和20年）12月5日: 成島 - 本中野間に小蓋信号所および側線を設置。
1946年（昭和21年）9月1日: 小蓋信号所および側線を閉鎖
1955年（昭和30年）9月20日: 東小泉駅を信号所に変更、小泉町駅旅客営業再開、新小泉駅開業。
1975年（昭和50年）4月1日: 新小泉駅廃止。
1976年（昭和51年）10月1日: 仙石河岸線 西小泉 - 仙石河岸間廃止。
1977年（昭和52年）4月1日: 東小泉駅旅客営業再開。
1996年（平成8年）10月1日: 貨物列車廃止（運行は9月25日まで）。
2003年（平成15年）3月19日: 東小泉 - 太田間でワンマン運転開始。
2006年（平成18年）
3月18日: 桐生線との直通運転再開（太田駅高架化工事のため一時休止）。
9月28日: 館林 - 西小泉間でワンマン運転開始。
2012年（平成24年）3月17日: 全駅で駅ナンバリング導入。

駅一覧

全列車全駅に停車、全区間でワンマン運転。
運賃計算は営業キロを用いる。
全駅群馬県内に所在。
線路（東武小泉線内は全線単線）… ◇：列車交換可 ｜：列車交換不可 ∧：終着駅

館林 - 西小泉間

駅名	路線距離(km)	備考
:-	:---	:--
館林	0.0	∧ ◇
成島	2.4	｜
本中野	4.1	◇
篠塚	6.3	｜
東小泉	8.3	◇
小泉町	10.4	｜
西小泉	12.0	∧

東小泉 - 太田間

駅名	路線距離(km)	備考
:-	:---	:---
東小泉	0.0	｜ ◇
竜舞	3.4	｜
太田	6.4	∧ ◇

廃止区間

仙石河岸線

西小泉駅 - 新小泉駅 - 仙石河岸駅

廃駅

上記の廃止区間内の駅を除く。

目車駅（館林 - 成島間 1928年12月10日開業・1941年12月25日廃止）
狸塚駅（成島 - 本中野間 1933年3月1日開業・1941年12月25日廃止）
瘤観音駅（東小泉 - 小泉町間 1931年11月10日開業・1941年12月25日廃止）

乗降人員

2023年度における各駅の1日当たりの乗降人員を以下に示す（単位：人）

館林駅 - 9,789
成島駅 - 666
本中野駅 - 871
篠塚駅 - 212
東小泉駅 - 1,212
小泉町駅 - 346
西小泉駅 - 1,201
竜舞駅 - 559
太田駅 - 10,112

PASMO導入について

小泉線では、2007年3月18日からSuicaとの相互利用が可能なICカード「PASMO」を導入しています。自動改札機を設置していない駅（館林駅及び太田駅以外）については、簡易ICカード改札機を設置して対応しています。

脚注

注釈

出典

関連項目

日本の鉄道路線一覧
いずみ緑道 - 仙石河岸線の廃線跡を利用した緑道

外部リンク

東武小泉線 - 東武鉄道

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