林森

林森（りん しん）

林森（1867年3月16日 - 1943年8月1日）は、清末から中華民国にかけての政治家であり、革命家です。字は子超、号は長仁。

生い立ちと革命活動

福建省の商家の出身で、幼少期にアメリカ系の学校で学びました。卒業後、電報局に勤務しましたが、日清戦争後の台湾割譲を機に福州へ移りました。その後、上海の税関に勤務する傍ら、革命運動に身を投じ、福建学生会を組織。1905年には孫文が創設した中国同盟会に加入しました。1909年、江西省に異動し、革命派の宣伝活動や武装組織の設立に携わり、他省の革命派とも連携を深めました。

1911年の武昌起義を機に、江西省の独立を宣言し、九江軍政府を組織。林森は民政長に、呉鉄城は総参議に就任しました。各省都督府代表連合会では、江西省代表として臨時政府組織大綱の制定や孫文の臨時大総統選出に尽力しました。

反袁世凱運動と護法運動

1912年、臨時参議院の議長に選出されましたが、袁世凱の北京遷都要求に反発し、辞任しました。1913年には参議院全院委員長に選出されるも、孫文が起こした第二革命（二次革命）が失敗。林森は日本へ亡命し、中華革命党に加入しました。その後、アメリカを中心に反袁世凱運動のための資金調達や海外支部設立に奔走し、1914年には国民党美洲総支部支部長に就任しました。

袁世凱死後、帰国し国会議員に復帰。反段祺瑞の姿勢を鮮明にし、国民党系の急進派「丙辰倶楽部」に属しました。1917年には孫文の護法運動に参加し、護法軍政府外交部長に就任しましたが、翌年、護法軍政府の指導体制が変更されると、上海に一時的に引退しました。

1920年、孫文が復権すると、林森も広州非常国会議長として復帰し、北伐のための資金調達に尽力。1922年には福建省省長に就任しましたが、北京政府を支持する薩鎮氷との政争に敗れて辞任しました。

中国国民党での活動

1924年、中国国民党の第一次全国代表大会で中央執行委員に選出されました。しかし、孫文の三大政策には反対の立場を取り、孫文の死後は反共右派に加わり、西山会議に参加。西山会議派では中央常務委員兼海外部長を務めました。

1927年、西山会議派が蒋介石・汪兆銘に合流すると、林森も南京国民政府に参加。立法院副院長、中央監察委員などを歴任しました。1931年には立法院長に任命されましたが、海外視察中で事務は代理が担当。広州国民政府にも名を連ねていましたが、反蒋活動には積極的ではなく、両派の調停に尽力しました。

国民政府主席としての晩年

1931年、満洲事変を機に国民政府が再統一されると、蒋介石が下野し、林森が国民政府主席に就任しました。以降、死去するまでの約12年間主席の地位にありましたが、実権は蒋介石が握っていました。

1943年、交通事故で負傷し、それが原因で重慶で死去しました。

人物像とその他

林森は、自然を愛し、自らを「青芝老人」と称しました。墓所も福建省の青芝山の傍らに建てられましたが、文化大革命期に破壊され、後に修復されました。台湾では、林森の功績を記念して、公園や道路にその名が冠されています。

参考資料

婁献閣「林森」『民国人物伝 第2巻』
劉寿林ほか編『民国職官年表』

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