樋井川

樋井川（ひいかわ）

樋井川は、福岡市内を流れ博多湾へ注ぐ大切な二級河川であり、流路は12.9km、流域面積は29.1km²です。源流は油山であり、流域は福岡市の城南区を含む都市部に位置しています。

地理的特徴

樋井川の流域地質は上流部である油山から片縄山にかけては中生代白亜紀の花崗閃緑岩が広く存在し、中・下流域には新生代の堆積岩や段丘堆積物が見られます。市街地化が進んだ結果、源流部を除くほとんどの地域が住宅地に変わりました。特に中流域では2006年に宅地化が約65%に達しており、農地はわずか3%にまで減少しています。しかし、江戸時代からの農業用ため池は現在も数多く残っており、その風景が地域の文化を醸し出しています。

沿岸には1982年から行われた埋め立てにより、百道海岸が整備され、福岡タワーや福岡ドーム、MARK IS 福岡ももちなどの商業施設が立ち並ぶウォーターフロントエリアが広がります。これにより、海水浴やビーチバレーの大会などが行われ、市民のレジャースポットとして親しまれています。また、流域の多くの場所が親水性を意識して整備されており、住民は日常的に水とのふれあいを楽しんでいます。

支流と橋梁

樋井川の周辺には多くの支流が存在し、油山や片縄山から流れ出る七隈川、梅林川、一本松川などが主要なものです。また、流域には様々な橋が架かっており、地域住民の交通手段として重要な役割を果たしています。

自然環境の保護

樋井川流域では、長きにわたって自然環境の保護が重要な課題となっています。特に油山北斜面は保安林に指定され、油山市民の森と一体となった森林保全が行われています。上流域ではサワガニやタカハヤといった生物が見られ、中流域ではオイカワやアユなど様々な魚類が生息しています。さらに、最近の河道の改良によって生物の移動を妨げる障害物が取り除かれ、さまざまな魚が遡上できるようになりました。しかし、外来種も増加しており、地元の生態系への影響が懸念されています。

財災の歴史と改修

樋井川は歴史的に水害に悩まされてきました。特に昭和28年と38年の大水害は甚大な被害をもたらしました。その後、河川改修が行われ、近年では流域の水害対策が進められています。複合的な河川整備計画が策定され、災害を未然に防ぐ取り組みが進行中です。

流域治水に向けて

都市化が進んでいる樋井川周辺では、近年の水害は都市型水害として認識されており、流域整備が求められています。河川整備計画では定期的な見直しが行われ、流域ごとの流出抑制の具体策が盛り込まれるなど、革新的な取り組みが進められています。これにより、樋井川は治水に関する新たなモデルとなることを目指しています。

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