正義の女神

正義の女神：象徴と歴史

正義の女神は、古来より司法の象徴として親しまれてきた存在です。彼女の起源はギリシャ神話のテミスと、ローマ神話のユースティティアに遡ります。これら二柱の女神はしばしば同一視され、法と正義を司る存在として崇められてきました。

象徴としての女神

正義の女神像は、司法関連施設でよく見られます。彼女が持つ天秤は正邪を測る「正義」を、剣は「力」を象徴しています。この二つは、正義を実現するためには力が必要であり、力が正義を伴わなければ暴力に堕することを意味しています。つまり、「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」という言葉が示すように、正義と力は法の両輪として不可欠な要素なのです。

また、女神が目隠しをしている像も多く見られます。これは、法が貧富や権力の有無に関わらず、万人に等しく適用される「法の下の平等」を象徴しています。しかし、目隠しは当初からあったわけではありません。初期の像では、目隠しはむしろ嘲笑の対象として描かれていました。15世紀の木版画では、馬鹿者が女神の目に目隠しをする様子が描かれており、裁判官が法に逆らい、悪習に基づいて判決を下すことを皮肉っていました。

16世紀以降になると、法の下の平等の理念が浸透し、目隠しは「人物の名声を顧慮しない公正さ」を意味するようになりました。現在では、目隠しをした像が主流ですが、目隠しを取った状態で、全体を見通して公正な判断を下す女神として表現されることもあります。このように、目隠しの意味は時代とともに変化してきたのです。

その他の正義の女神

テミスの娘であるアストライアーや、ホーラーの一人であるディケーも、正義を司る女神として知られています。しかし、これらの女神が司法の象徴として扱われることは稀です。アストライアーは、星座上でおとめ座に属し、隣りのてんびん座の天秤を持っているという説もあります。

現代における正義の女神

正義の女神は、現代でも様々な場所で見ることができます。裁判所や法律事務所に飾られる彫刻や絵画、弁護士バッジなど、その姿は私たちの身近なところに存在しています。また、タロットカードの大アルカナ「正義」にも、剣と天秤を持った女性が描かれており、これは正義の女神を擬人化したものです。

英語圏では、固有の名前よりも「Lady Justice」と呼ばれることが一般的です。固有の名前を用いる際は、[正義]の語源ともなっているユースティティアが用いられることが多いです。

正義の女神は、時代を超えて、法と正義の象徴として人々に親しまれています。彼女の姿は、私たちが公平な社会を築く上で、常に心に留めておくべき教訓を与えてくれるでしょう。

各装備品の含意

天秤: 正邪を測る公正さの象徴。
剣: 力、正義を執行する力の象徴。
目隠し: 法の下の平等、誰にも偏ることなく公正に判断する象徴。

これらの要素は、正義の女神像を見る際に、その意味をより深く理解する上で役立つでしょう。

参考資料

Origin of Lady of Justice（英語。Commonlaw.com）
Images of Justice（英語。画像リンク）
About.com: Greek Goddess Themis, Dike, Astraia, or Roman Goddess Justitia（英語）
Google Answers: Q: brief history of the scales of justice
The Society of Inner Light: The Justice Workings

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