水上温泉

水上温泉

水上温泉は、群馬県利根郡みなかみ町に位置する温泉地です。谷川岳南麓一帯に広がる水上温泉郷の中核を担い、その歴史と規模において重要な役割を果たしています。上毛かるたにも「み」の札で「水上谷川 スキーと登山」と詠まれるほど、自然豊かな地として知られています。

泉質

水上温泉の泉質は、カルシウム - 硫酸塩泉です。この泉質は、神経痛や筋肉痛、関節痛、冷え性などに効果があると言われています。

温泉街の様子

JR上越線の水上駅近く、利根川上流の渓流沿いに旅館やホテルが立ち並びます。狭い場所に多くの宿泊施設が密集しており、その間には諏訪峡や水上峡などの景勝地があります。特に紅葉シーズンは多くの観光客で賑わい、温泉街をゆっくりと走るトテ馬車は、水上温泉を象徴する風景となっています。

利根川にはいくつかの橋が架かっており、湯原橋や水上橋はライトアップされ、夜の温泉街を彩ります。また、スマートボールなどの遊技場が残る昔ながらの温泉街の雰囲気は、近年、その珍しさから再び注目を集めています。

宿泊客向けの温泉地であるため、日帰り温泉施設は比較的少ないですが、多くの旅館が日帰り入浴に対応しています。町営の温泉施設「湯テルメ・谷川」や足湯が楽しめる「ふれあい交流館」など、多様なニーズに応える施設も整備されています。

歴史

水上温泉の開湯は、永禄年間に海翁和尚が利根川の崖から立ち上る煙を発見したのが始まりとされています。清水トンネルが開通するまでは、秘境の温泉地として知られていました。しかし、温泉情緒と雄大な渓谷美が調和した自然環境は、多くの文人を魅了し、太宰治、北原白秋、与謝野晶子など、数多くの文人墨客が訪れました。当時は「湯原温泉」と呼ばれていました。

1931年（昭和6年）に国鉄上越線が開通すると、首都圏からのアクセスが向上し、奥座敷として注目を集めました。1966年（昭和41年）には、菊富士ホテルで火災が発生する事故もありました。

その後、急行「ゆけむり」や特急「谷川」の運行、国道の整備、関越自動車道との接続などにより、団体旅行客を多数受け入れることができる大規模な温泉地として発展しました。しかし、歓楽的な要素も強くなり、飲み屋やショーパブなどが多く出店し、大規模な風俗街を形成しました。

バブル経済崩壊後、団体旅行客の減少や旅行ニーズの変化により、水上温泉は衰退を余儀なくされました。しかし、近年では従来のイメージを払拭し、豊かな自然に着目して、レクリエーション拠点としての再生を目指しています。スキーやラフティングなどのアウトドアスポーツに力を入れ、レジャー一体型の温泉保養リゾートとして新たな魅力を打ち出しています。川沿いの遊歩道整備や、地元の食材を扱う農産物直売所とレストランを併設した「食彩の駅 M Forest」の開業など、地域活性化に向けた取り組みも進められています。

近年の主な問題

上越新幹線の大清水トンネル工事の際、泉脈の50m下をトンネルが通過したことにより、源泉の枯渇や湯量減少が発生しました。この問題は1979年に衆議院の予算委員会でも取り上げられ、日本鉄道建設公団による補償として、新たな源泉のボーリング開発が行われました。

2004年には、温泉偽装問題が発覚し、温泉と表示しながら水道水を使用していた施設があったことが報じられました。一部の旅館では、温泉のみ徴収可能な入湯税も徴収していたとして問題になりました。

また、水上駅前には廃墟化したホテル大宮が存在し、地域住民の悩みの種となっています。

アクセス

• - 鉄道: 上越線水上駅下車、徒歩約5分
• - 車: 関越自動車道水上インターチェンジから国道291号経由

水上温泉は、豊かな自然と歴史、そして新たな魅力が融合した温泉地として、訪れる人々を癒し続けています。

もう一度検索