泉昌之

泉昌之は、漫画原作者の久住昌之と、漫画家の泉晴紀による共同ペンネームです。二人は美学校で出会い、久住が泉の独特な劇画タッチの作風に興味を持ったことから、共同制作を始めました。

当初、彼らの作品は、漫画雑誌『ガロ』に掲載されました。この雑誌の編集長が合作を好まなかったため、二人で一つのペンネームを使うことになったと言われています。デビュー作である『夜行』は、アラン・ドロンをモデルにした「トレンチコートのおじさん」というキャラクターが登場し、駅弁の幕の内弁当の食べ方に異常なこだわりを見せるという、独特な世界観が描かれています。このキャラクターは、後の作品やエッセイでも「本郷播」という名前で登場しています。

泉昌之の作品は、日常の些細な出来事を、非常に細かく、そして過剰に描く点が特徴です。特に食べ物に関しては、異常なまでのこだわりが見られます。例えば『夜行』や『かっこいいスキヤキ』などでは、食べ方や調理法に対する異常な執着が描かれています。この独特な作風は、「みみっちい食の美学」と評されることもあります。また、初期にはウルトラマンを題材にしたパロディ作品も多くありましたが、権利関係の問題から、現在は見ることができません。

1992年から4年間、漫画雑誌『小学五年生』で連載された『キッチョメン!石神井先生』は、几帳面すぎる小学校教諭を主人公にしたギャグ漫画です。この作品では、グミ、裸眼立体視、映画『ジュラシック・パーク』、Jリーグ、アイドルのコンサートなど、連載当時の流行を取り入れた時事ネタが数多く登場しています。この作品でも、冷やし中華の調理を細かく描写するなど、泉昌之独特のこだわりが見られます。

彼らの作品は、映像化もされています。ドラマ『世にも奇妙な物語』では、『かっこいいスキヤキ』に収録されている『夜行』、『最後の晩餐』、『耳掘り』が、それぞれ『夜汽車の男』、『理想のスキヤキ』、『耳かき』というタイトルでドラマ化されました。また、『ダンドリくん』は、1992年に飯島直子のデビュー作として実写ビデオ化され、この作品には、久住と泉も出演しています。さらに、2023年には『かっこいいスキヤキ』が、竹内力主演で再びドラマ化され、大きな話題となりました。ドラマ化されたエピソードは『夜港』、『花粉』、『最後の晩餐』、『ロボット』の4つです。

泉昌之の主な作品リストには、『かっこいいスキヤキ』、『プロレスの鬼』、『感情的』、『エラーマン』、『豪快さんだっ!』、『イイ大人 GOODMAN』、『ズミラマ』、『天国や地獄』、『ダンドリくん』シリーズ、『ジジメタルジャケット』、『ザ・デルタ ジジメタル・ジャケット2』、『イケイケの人々』、『キッチョメン!石神井先生』、『黄檗先生妄想録』、『かっこいいスキモノ』、『健康屋台』、『新さん』、『芸能グルメストーカー』、『天食』、『ならばせ入道と毛坊主(ボーズ) 現代の妖怪』、『食の軍師』シリーズ、『それでも食べに行きたい辺境絶品グルメ 関東エリア版』、『昼のセント酒』、『世界樹四人飯』などがあります。彼らの作品は、漫画ファンだけでなく、多くの読者を魅了し続けています。

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