美学校

美学校について

美学校は、東京都千代田区神田神保町に拠点を置く、美術、音楽、メディア表現を専門とする私塾です。学校法人ではなく会社法人として運営されており、1969年2月に現代思潮社の石井恭二、川仁宏らによって創立されました。赤瀬川原平によるロゴデザインも特徴的です。

入学試験や資格は特に設けられていませんが、学校法人ではないため、卒業しても公式な資格は得られません。しかし、芸術分野で著名な講師陣を多く抱え、講義内容は各講師が学生の意見を聞きながら決めるという、自由で活発な学びの場として知られています。一方で、経営は必ずしも安定しておらず、2019年までに3度の倒産危機を経験するなど、その運営には曲折もありました。

また、岡山市には岡山校が存在します。なお、「映画美学校」とは別の組織です。

沿革

1969年 - 現代思潮社の石井恭二、川仁宏らにより、東京都新宿区若葉町に創立。
1970年 - 教場を千代田区神田神保町に移転。
1973年 - 松澤宥が長野県に美学校・諏訪分校を開講（1981年閉校）。
1975年 - 現代思潮社から独立し、田中力が代表責任者に就任。
1979年 - 夜間教程を10月から6ヶ月間開催。
1980年 - 描写研究室を除き、全ての教程を夜間開講とする。
1981年 - 代表責任者の田中力が辞任し、今泉省彦が代表に就任。昼間・夜間教程を併設。
1983年 - 卒業生を中心にアートイベント「ギグメンタ83」を開催。
2000年 - 代表の今泉省彦が辞任し、藤川公三が代表に就任。
2003年 - 有限会社美学校として再組織。特定非営利活動法人「芸術環境支援機構の会（AESS）」を設立。
2006年 - 「美学校ギグメンタ2006」を開催。
2012年 - 音楽コースを新設（2013年度より音楽学科、2014年度に解体・合併）。コーディネーターは岸野雄一。
* 2013年 - イギリスのサウサンプトン大学付属美術館John Hansard Galleryで開催された展覧会「Anti-Academy」にて、1960年代に存在したオルタナティブなアートスクール三校のうちの一校として紹介される。

講師陣

創立以来、美学校では多岐にわたる分野の著名人が教鞭を執ってきました。美術家の中西夏之、加納光於、赤瀬川原平、松沢宥、中村宏、菊畑茂久馬、小畠廣志をはじめ、グラフィックデザイナーの木村恒久、舞踊家の笠井叡、映画監督の鈴木清順、映画美術監督の木村威夫、音楽家の小杉武久、インド哲学者の松山俊太郎、作家・評論家の澁澤龍彦、舞台俳優・演出家の唐十郎など、多彩な顔ぶれが名を連ねます。

2000年に藤川公三が代表に就任してからは、絵画、版画、写真といった伝統的な美術講座に加え、現代美術やメディア表現（マンガ、フィギュア、ファッション、演劇、デザインなど）の講座も展開。小沢剛、会田誠、松蔭浩之、宇治野宗輝、藤浩志、内海信彦、伊東篤宏、小倉正史、三田村光土里、OJUN、中ザワヒデキ、間島秀徳、Chim↑Pomリーダー卯城竜太、福住廉、久住昌之、佐藤直樹、都築潤、小田島等、JINMO、濱田謙一らが講師を務めました。

2012年に始まった音楽コースでは、菊地成孔、大谷能生、横川理彦、numb、岸野雄一らが講師となり、楽理、作曲、デスクトップミュージック（DTM）、レコーディングなどの講座を提供しました。

卒業生

美学校は2019年までに約4000人の卒業生を送り出しており、その中には後に代表を務めた藤川公三も含まれます。

赤瀬川原平が長年担当した「絵・文字工房」は、赤瀬川自身の関心事をテーマにした講義が人気で、平口広美、南伸坊、渡辺和博、泉昌之（泉晴紀/久住昌之）、森伸之、上原ゼンジ、まどの一哉、井上則人など、多くのクリエイターを輩出しました。

その他にも、平出隆、林英哲、村上龍、佐野史郎、浜津守、末井昭、石橋春海、佐藤直樹、田村治芳、久住卓也、浅生ハルミン、長谷川貴子、コマツソウルカッターなど、各界で活躍する卒業生を数多く輩出しています。


美学校公式サイト

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