久住昌之

久住昌之は、1958年東京都三鷹市生まれの、漫画原作者、漫画家、エッセイスト、イラストレーター、装丁家、作曲家として多彩な才能を発揮している人物です。

東京都立神代高等学校、法政大学社会学部卒業後、美術や音楽活動に興味を持ち、美学校で赤瀬川原平に師事しました。この時期に南伸坊などと知り合い、1981年には美学校の同期生、泉晴紀と「泉昌之」として漫画家デビューを果たします。

泉昌之としての活動と並行して、写真家・滝本淳助とのコンビで『写真四コマ漫画』を発表し、滝本の独特な価値観を描いた『タキモトの世界』を刊行しました。また、テレビ朝日『タモリ倶楽部』のミニコーナー「東京トワイライトゾーン」にも滝本と出演し、トマソンに類似した物件を紹介し、1989年には共著『タモリ倶楽部 東京トワイライトゾーン』を出版しました。さらに、滝本や周囲の人の夢を基にした漫画『夢蔵』も執筆しています。

1985年には、初の単独著作『近くに行きたい 舞台は江ぐちというラーメン屋』を発表しました。これは、学生時代から通っていた三鷹駅前のラーメン店「江ぐち」を舞台にした作品です。また、デザインや装丁の仕事にも力を入れ、河出書房新社の「カワデ・パーソナル・コミックス」や大友克洋『童夢』の豪華本の装丁を手掛けています。

実弟の絵本作家・久住卓也とのユニット「Q.B.B.」では、昌之が原作、卓也が作画を担当し、『中学生日記』で第45回文藝春秋漫画賞を受賞しました。この作品は、後に短編映画化もされています。

谷口ジローとのコンビによる漫画『孤独のグルメ』は、海外でも翻訳出版され、2012年にはテレビドラマ化されました。久住自身も音楽の一部を担当し、ドラマにミニコーナー出演や最終話にも登場しています。また、水沢悦子の作画による『花のズボラ飯』もヒットし、こちらもテレビドラマ化され、久住は音楽を担当、九墨正雪名義で出演もしています。

その他、江口寿史の元アシスタントである河野哲郎とのコンビ作では、アメリカンコミック風の作品も執筆しています。

音楽活動も活発で、楳図かずおのバンドに参加したほか、自身のバンド「モダン・ヒップ」やソロ名義、The Screen Tones名義でCDをリリースしています。

久住昌之の作品は、漫画、エッセイ、デザイン、音楽と多岐にわたり、それぞれの分野で独自の視点とユーモアを交え、多くのファンを魅了しています。彼の作品は、日常の些細な出来事や食を通して、人生の豊かさを感じさせる魅力に溢れています。

主な作品として、単著では『近くへ行きたい。秘境としての近所 舞台は“江ぐち”というラーメン屋』『ある純情青年の風俗十番勝負』『久住昌之の人生読本』『歩く人』『夢蔵 Super dream collection』『工夫癖』『食い意地クン』『野武士のグルメ』『昼のセント酒』『ひとり家飲み通い呑み』などがあります。

共著では、泉昌之名義で『イケイケの人々』、Q.B.B.名義で『中学生日記 一生で一番ダサイ季節』などがあります。また、『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』など、原作を担当した作品も多数あります。

テレビドラマ『孤独のグルメ』では、各シーズンの最終話や特別編に「久住さん」役として出演しており、ドラマ版のファンにも親しまれています。また、『花のズボラ飯』では九墨正雪名義で出演しています。

久住昌之は、その多才な才能と独特の感性で、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

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