海岸ビルヂング

海岸ビルヂング：神戸の地に息づく歴史と美

1911年（明治44年）、貿易商社兼松商店（現在の兼松株式会社の前身）の本社として建てられた海岸ビルヂングは、神戸市中央区海岸通にそびえ立つ歴史的建造物です。国の登録有形文化財に指定されており、その風格ある佇まいは、神戸の街の歴史を今に伝えています。

建築家の技と風格

設計を手掛けたのは、神戸の街並みを彩る数々の建築物を設計したことで知られる、著名な建築家河合浩蔵氏です。河合氏は、海岸ビルヂング以外にも、奥平野浄水場旧急速濾過場上屋、神戸地方裁判所、そして国の重要文化財にも指定されている旧小寺家厩舎など、多くの重要な建造物を設計しています。彼の建築センスが凝縮された海岸ビルヂングは、竣工当時、海岸通でも最も壮麗な建築物の一つとして称賛されました。

海岸ビルヂングの建築様式は、重厚な煉瓦造と花崗岩張りのファサードが特徴的です。かつては、コーニス上に巨大なペディメントが飾られ、その威容を誇示していましたが、戦災によって失われてしまいました。しかし、建物の骨格となる部分は現在も残り、当時の壮麗さを偲ばせることができます。

時を超えて息づく空間

竣工当時は、1階全体が兼松商店の事務所として使用され、2階以上のフロアは貸事務所として利用されていました。現在も、1階のブティックの一部インテリアなどに、兼松商店時代の面影を見ることができます。

建物の内部は、吹き抜けの天井に鮮やかなステンドグラスが飾られ、訪れる人々を魅了します。夜間には、日没から22時までライトアップされ、幻想的な雰囲気を醸し出します。現在では、様々なテナントが入居し、それぞれの個性豊かな空間が共存しています。1階にはCarhartt WIP、アッシュペーブチック、アリアンスグラフィックなど、2階にはmature、草灯舎、sous les arbres floor、MARGEなど、3階にはeneen-エネン-、GalleryVie、MANUALLABOUR、NOTAM Apartment170、象設計集団 神戸アトリエなどが入居し、多様な魅力を発揮しています。

アクセスと周辺環境

海岸ビルヂングへのアクセスは良好です。神戸市営地下鉄海岸線「旧居留地・大丸前駅」から徒歩8分、JR神戸線（東海道本線）・阪神本線・神戸高速線「元町駅」から徒歩10分と、公共交通機関でのアクセスも便利です。

周辺には、旧居留地、神戸ドールミュージアム、THE FORTY FIFTH、大丸ミュージアム神戸、ジーニアスギャラリー、旧居留地38番館、神戸らんぷミュージアム、神戸市立博物館、旧居留地十五番館、チャータードビル、商船三井ビルディング、海岸ビル、神港ビルなどの観光スポットや歴史的建造物が点在しています。また、旧雑居地エリアには神戸郵船ビル、神戸南京町、旧神戸住友ビルなどがあり、散策にも最適な立地です。

建築概要

設計: 河合浩蔵
竣工: 1911年（明治44年）
施工: 旗手組
構造: 煉瓦造、花崗岩張り、地上3階
建築面積: 682m²
所在地: 〒650-0024 兵庫県神戸市中央区海岸通三丁目1-5

海岸ビルヂングは、単なる歴史的建造物にとどまらず、現代の神戸の街に活力を与える存在となっています。その歴史と美しさ、そして現代的なテナントとの調和は、訪れる人々に忘れられない思い出を残してくれることでしょう。

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