済生丸

済生丸（さいせいまる）

済生丸は、社会福祉法人恩賜財団済生会が運航する日本で唯一の巡回診療船で、1962年から瀬戸内海と豊後水道の島々を巡り、定期的に医療サービスを提供しています。この船は、特に医療環境が整っていない地域の住民にとって重要な存在となっています。

設立の背景

済生丸は、済生会創立50周年を記念して、医療提供が難しい地域の住民を支援する目的で就航しました。特に岡山、広島、香川、愛媛の4県に属する65の島々を対象とし、島民の健康診断や内科診療、救急医療を行っています。現在運航中の4代目となる済生丸100号は、2014年に初めて就航しました。

医療機器と診療内容

済生丸には、レントゲン室や内科用機器など、病院と同等の設備が整っています。岡山、広島、香川、愛媛各県の支部から派遣された医師や看護師が交代で乗船し、さまざまな医療サービスを提供しています。特に特徴的なのは、定期的に実施される健康診断で、これには結核や肺、胃がん検査をはじめ、前立腺がん検査、乳がん検査など多岐にわたります。さらに、島民のための一般的な内科診療も行っています。

運営体制と歴史

済生丸の運営は、初代が就航した当初は社会福祉法人本部が直轄で行っていましたが、2011年度からは岡山、広島、香川、愛媛の各支部が共同で運営を行うようになりました。この変更により、様々な県からの医療スタッフが協力し、質の高い医療サービスを提供できるようになりました。

巡回ルート

済生丸は約10日ごとに各県を巡り、以下の島々を訪れます：

• - 岡山県：鹿久居島、鴻島、頭島など計12島
• - 広島県：小佐木島、百島、生野島など計13島
• - 香川県：男木島、女木島、手島など計20島
• - 愛媛県：佐島、津島、大島など計20島

歴代の船

1. 済生丸1世号（1962年就航）：済生会の創立50周年を記念して建造された初代船。
2. 済生丸2世号（1975年就航）：船首にランプゲートを装備し、その後の船もこの特徴を融合。
3. 済生丸3世号（1990年就航）：阪神淡路大震災時には救援活動にも参加。老朽化により2013年に引退。
4. 済生丸100号（2014年就航）：新造船の特徴として、バリアフリー化や最新医療機器の導入を行った。

未来への展望

済生丸は、地域住民の健康を支える重要な役割を果たし続けています。今後も高齢化や過疎化が進む中で、医療サービスの提供を維持し、地域のニーズに応える必要があります。また、運営財政の課題も抱えており、持続可能な医療提供のための新たな取り組みが求められています。済生丸は、その使命を果たすために、地域の医療環境を守り続けることを目指しています。

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