瀧谷寺

瀧谷寺：歴史と文化が息づく福井の古刹

福井県坂井市に位置する瀧谷寺は、真言宗智山派に属する由緒ある寺院です。摩尼宝山を山号とし、本尊は薬師如来。1377年（永和3年）、睿憲によって創建された小さな庵が起源とされ、その後、1381年（永徳2年）現在地に移転しました。

長い歴史の中で、領主らの帰依を集め、多くの塔頭や末寺を擁する大寺院へと発展を遂げました。その栄華を物語るように、境内には数多くの貴重な文化財が今も大切に保存されています。

寺院の宝：国宝、重要文化財、そして名勝庭園

瀧谷寺の最大の誇りは、数多くの国宝および重要文化財です。

まず、国宝に指定されているのは「金銅宝相華文磬（こんどうほうそうげもんけい）」です。平安時代後期の作品とされ、精緻な宝相華文が施されたその美しさは、見る者を魅了します。

重要文化財としては、「絹本著色地蔵菩薩像」や「天之図」といった絵画、そして寺院建築物である「本堂」「観音堂」「方丈及び庫裏」「開山堂」「鎮守堂」「山門」など、6棟の建造物が指定されています。さらに、「総門」と「宝蔵」も附指定を受けています。

これらに加え、1929年には境内にある庭園が「名勝」として国の指定を受けました。江戸時代前期に造られたとされるこの庭園は、1700平方メートルもの広さを誇り、四季折々の美しい景色を見せてくれます。

境内を彩る歴史と芸術

瀧谷寺の境内には、歴史と芸術が凝縮されています。本堂には、伝・泰澄作とされる薬師如来立像が安置され、欄間の龍の彫刻は山田鬼斎によるものです。

室町時代の建築様式を残す観音堂は、寛文3年（1663年）に改修されており、秘仏如意輪観音像が安置されています。

山門（鐘楼門）は天正年間の建築で、元禄11年に改修。柴田勝家の寄進と伝えられています。開山堂には、石棺の内壁に元亀3年（1572年）作の十三仏の浮彫が見られます。堂自体はそれ以前の建築と推定されています。

鎮守堂は室町時代創建当時の建築様式を今に伝え、聖天堂、地蔵堂、客殿（大正3年築）、宝物殿、庫裏などが境内には点在しています。特に、龍泉庭と呼ばれる庭園は、訪れる人の心を癒やす静寂の空間です。

アクセスと周辺情報

瀧谷寺は、えちぜん鉄道三国芦原線三国駅から徒歩10分とアクセスも良好です。開門時間は3～10月は8:00～17:00、11～2月は8:00～16:30で、拝観料は500円です。

周辺には、北陸成田山として知られる成田山福井別院九頭龍寺、坂井市龍翔博物館、ONO MEMORIAL（ブルーケーキ）、みくに文化未来館、旧森田銀行本店（国の登録有形文化財）、旧岸名家など、観光スポットも豊富です。

歴史と文化、そして自然の美しさを感じることができる瀧谷寺は、福井を訪れた際にはぜひ訪れていただきたい寺院です。

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