瀬戸山美咲

瀬戸山 美咲（せとやま みさき）

1977年生まれ。日本の舞台芸術界で多角的に活躍する劇作家、演出家、脚本家。自身の演劇ユニット「ミナモザ」を主宰するほか、2022年3月からは日本劇作家協会の会長として、日本の劇作家たちの活動を牽引している。

来歴

東京都出身。学生時代、中学から高校にかけて演劇部に所属していたが、早稲田大学政治経済学部（日本政治思想史ゼミ）在学中は演劇活動から離れ、手話サークルに参加していた。しかし、大学4年次には北区・つかこうへい劇団のオーディションを受け、劇の音響スタッフとして裏方業務に携わった。

大学卒業後、一般的な就職の道を選ばず、フリーライターとしてキャリアをスタート。週刊誌やファッション誌などで執筆活動を行い、特に週刊現代での経験を通じてジャーナリズムの深層に触れたことは、後に彼女が社会的なテーマを掘り下げる演劇作品を生み出す上での重要な素養となった。

演劇ユニット「ミナモザ」と主な活動

2001年、自身の演劇ユニット「ミナモザ」を立ち上げる。以来、同ユニットを中心に、現実社会の出来事や問題に根ざした力強い作品を発表し続けている。

代表作と受賞歴

彼女の名が広く知られるきっかけとなったのは、2013年に発表された『彼らの敵』である。この作品は、1991年にパキスタンで発生した日本人学生誘拐事件に着想を得て綿密な取材を重ねて創作され、第23回読売演劇大賞において優秀作品賞を受賞。以降、意欲的な創作活動を続け、数々の賞に輝いている。

主な受賞・候補歴としては、2019年上演の『わたし、と戦争』で第63回岸田國士戯曲賞の候補となるとともに、第26回読売演劇大賞の優秀演出家賞を受賞。また、2020年には『THE NETHER』の演出により、第27回読売演劇大賞優秀演出家賞および第70回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した。その他にも、『夜、ナク、鳥』や、長田育恵と共同で脚本・演出を手がけた現代能楽集X『幸福論』でも読売演劇大賞の優秀演出家賞や選考委員特別賞を受賞するなど、演出家としても高い評価を得ている。

2022年には『彼女を笑う人がいても』が第66回岸田國士戯曲賞の候補に選出されている。

多様なメディアでの活躍

瀬戸山美咲は舞台に限らず、脚本家として映画やテレビドラマ、ラジオドラマなど多岐にわたる分野で才能を発揮している。

映画脚本としては、『アズミ・ハルコは行方不明』（2016年）や『リバーズ・エッジ』（2018年）などを手掛けた。
テレビドラマでは、『腐女子デカ』（2008年）、『マジすか学園』（2010年）、そしてNHKの『金色の海』（2021年）で脚本を担当している。
ラジオドラマでは、NHK-FMで放送された『あいちゃんは幻』（2016年）が第42回放送文化基金賞脚本賞を受賞するなど、高い評価を受けている。

その活動は、社会的な問いかけからエンターテインメントまで幅広く、現代日本演劇界において欠かせない存在となっている。

主な作品リスト

以下に、主な舞台作品の一部を記す。

ミナモザ公演

• - エモーショナルレイバー（2011年）
• - ホットパーティクル（2011年、2016年）
• - 指（2011年、2012年、2014年）
• - 国民の生活（2012年）
• - ファミリアー（2012年、2013年、2014年）
• - 彼らの敵（2013年、2015年、2016年）- 第23回読売演劇大賞優秀作品賞
• - WILCO（2014年）
• - みえない雲（2014年）
• - Ten Commandments（2018年）
• - 処置（2018年）
• - 山椒魚（2020年）

外部公演（脚本・演出など）

• - 東京ハートブレイカーズ『フィッシュストーリー』（2011年）脚本・演出
• - 東京ハートブレイカーズ『グッドモーニング、ビッグバン』（2011年）作・演出
• - 非戦を選ぶ演劇人の会リーディング『私の村から戦争が始まる』（2012年）共同脚本
• - Quaras 『阿修羅のごとく』（2013年）上演台本
• - ジェットラグプロデュース『アルテノのパン』（2013年）演出
• - 東京ハートブレイカーズ『チルドレン』（2014年）脚本・演出
• - 青年劇場『オールライト』（2015年）作
• - ロンドンバブルシアター『ヒロシマの孫たち』（2015年 - 2016年）上演台本
• - 東京グローブ座『MORSE -モールス-』（2015年）上演台本
• - オフィス コットーネ・プロデュース『埒もなく汚れなく』（2016年、2019年改訂版）作・演出
• - 国際演劇協会　紛争地域から生まれた演劇8『ジハード Djihad』（2016年、2018年）演出
• - 椿組『始まりのアンティゴネ』（2017年）作・演出
• - 青年劇場『梅子とよっちゃん』（2017年）演出
• - 多摩ニュータウン×演劇プロジェクト『たまたま』（2017年）作・演出
• - 東京グローブ座『グリーンマイル』（2017年）上演台本・演出
• - オフィス コットーネ・プロデュース『夜、ナク、鳥』（2018年）演出 - 第26回読売演劇大賞優秀作品賞・優秀演出家賞
• - 流山児★事務所『わたし、と戦争』（2018年）作・演出 - 第26回読売演劇大賞優秀演出家賞
• - 青年座『残り火』（2018年）作
• - 舞台芸術によるまちづくりプロジェクト『枇杷の家』（2019年リーディング、2020年演劇）演出
• - s**t kingz『My Friend Jekyll』（2019年、2021年、2025年『マイ フレンド ジキル』）上演台本・演出
• - 東京グローブ座『THE NETHER』（2019年）上演台本・演出 - 第27回読売演劇大賞優秀演出家賞、第70回芸術選奨文部科学大臣新人賞
• - 新国立劇場『あの出来事』（2019年）演出
• - KAAT神奈川芸術劇場『オレステスとピュラデス』（2020年）作
• - 現代能楽集Ｘ『幸福論』（2020年）作・演出 - 第28回読売演劇大賞選考委員特別賞・優秀演出家賞
• - 東京グローブ座『染、色』（2021年）演出

映画（脚本）

• - アズミ・ハルコは行方不明（2016年）
• - リバーズ・エッジ（2018年）

テレビドラマ（脚本）

• - 腐女子デカ（2008年）
• - マジすか学園（2010年）
• - 金色の海（2021年）

ラジオドラマ（脚本）

• - あいちゃんは幻（2016年）- 第42回放送文化基金賞脚本賞
• - 丘の上の幸福（2018年）
• - 風よとどけよ（2019年）

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