災害ボランティア

災害ボランティアとは

災害ボランティアとは、地震、水害、火山噴火といった災害が発生した際に、被災地において復旧・復興活動を行うボランティアのことです。ここでは、日本における災害ボランティアの歴史、課題、近年の動向、主要な団体について解説します。

日本における災害ボランティアの歴史

災害ボランティアの歴史は古く、1923年の関東大震災において、東京帝国大学の学生が上野公園などで被災者の救援活動を行った記録があります。この際、学生たちが仮設トイレを建設しようとしたところ、公園管理者との間で議論となり、「上野公園が糞の山になっても構わないのか」という言葉が決め手となり、建設が許可されたという逸話が残っています。また、1948年の福井地震では、東京学生同盟や各地の青年団が駆けつけ、堤防の修復や食料の配給などを行いました。YMCAは授乳所を運営し、永平寺の修行僧が青空学級を開講したという記録もあります。

近年では、1990年から1995年にかけての雲仙普賢岳噴火災害や、阪神・淡路大震災直前の1993年北海道南西沖[[地震]]において、災害ボランティアが活躍しました。

阪神・淡路大震災と災害ボランティア

1995年の阪神・淡路大震災では、全国から延べ137万人以上のボランティアが駆けつけ、「ボランティア元年」と呼ばれるようになりました。この震災を契機に、政府は防災基本計画を改訂し、ボランティア活動の環境整備や受け入れに関する項目を設けました。また、1月17日を「防災とボランティアの日」、1月15日から21日を「防災とボランティア週間」とすることが決定され、災害対策基本法に初めて「ボランティア」という言葉が明記されました。

その後も、「ナホトカ号」重油災害、有珠山噴火災害、東海豪雨など、各地の災害において災害ボランティアは不可欠な存在となっています。2004年からは、内閣府防災担当が「防災ボランティア活動検討会」を開催し、有識者や災害ボランティアによる検討や議論が行われています。

災害ボランティアをめぐる課題点

阪神・淡路大震災の際には、ボランティアに関する知識や経験が国民に十分浸透していなかったため、一部のボランティアによるマナー違反やトラブルが発生しました。また、一部のNGO団体による主導権争いや、地元住民との対立なども見られました。新潟県中越地震においても、一部のNGOが地元組織との間で深刻な対立を生むなどの課題が浮き彫りになりました。このような反省から、災害ボランティア活動は、地元のCBO（Community-Based Organization）の主体性なくしては円滑な立ち上げや収束が難しいという認識が広まり、平時からCBOと災害ボランティアが連携する方向へと進化しています。

東日本大震災においては、企業が自費で参加したボランティアをイベント会場設営に流用する問題も発生しました。

近年の災害ボランティアの動向

近年では、一部の自治体で、行政や地元の団体、NPO、社会福祉協議会などのCBOと連携し、災害時に協働で災害ボランティアセンターを構築する動きが見られます。京都府や京都市では、官民共同運営方式で災害ボランティアセンターが常設されています。福井県では、官民で組織する連絡会が災害時にセンターの設置を判断する方式を採用しています。三重県では、災害時に官民協働で支援センターが設置される仕組みになっています。

主要な災害ボランティア団体

以下は、日本における主要な災害ボランティア団体の一部です。

東京消防庁 災害時支援ボランティア
川崎市消防局 災害ボランティア
日本赤十字社赤十字奉仕団・赤十字防災ボランティア
海守（海上保安庁公認の民間防衛ボランティア団体）
一般社団法人 日本災害救援活動士協会
一般社団法人 災害復旧支援ダッシュ隊

その他、多数のNPO法人やボランティア団体が、各地で災害ボランティア活動を展開しています。

まとめ

災害ボランティアは、被災地の復旧・復興において重要な役割を果たしています。過去の災害の経験から、課題を克服し、地域との連携を強化しながら、より効果的な活動を目指しています。今後も、災害ボランティアの重要性はますます高まっていくと考えられます。

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