片渕須直

片渕 須直 (かたぶち すなお)

片渕須直は1960年8月10日、大阪府枚方市に生まれた日本の男性アニメーション監督であり脚本家です。彼は日本大学芸術学部映画学科を卒業後、同学部の特任教授や東京芸術大学大学院の講師を務めています。現在、株式会社コントレイルの取締役としても活動しています。

経歴

幼少期と学生時代

片渕は幼少期からアニメ映画に触れる環境で育ち、特に母方の祖父が経営する映画館に頻繁に通っていました。彼は2歳7か月で東映制作の『わんぱく王子の大蛇退治』を観ており、その中の印象深いシーンを記憶しています。この作品で関わった名アニメーターと後に大学で学ぶことになり、また業界では先輩として大塚康生と出会うなど、彼の人生には不思議な縁が殺到しました。

高校時代、片渕は視聴覚委員会で活動していました。学校の授業で出会ったアニメーションに魅了され、『未来少年コナン・愛蔵版』をきっかけにアニメ制作への興味が芽生えました。高校卒業後は日本大学芸術学部の映画学科に進学し、アニメーションを専攻しましたが、授業は限られていたため独学で学ぶ日々が続きました。

キャリアの初期 (1980年代)

在学中に受けた宮崎駿のシナリオライターのテストで合格し、テレコム・アニメーションフィルムでのキャリアをスタートさせました。大学卒業後、テレコムに社員として入社し、宮崎の作品に関わる機会を得ますが、名探偵ホームズの企画が中止され、彼は演出助手として留まることになりました。

その後、アメリカでの映画『リトル・ニモ』の制作に参加し、演出助手を務めた事が経験となり、1986年に虫プロでテレビシリーズ『ワンダービートS』の演出チーフとなります。

初監督: 『魔女の宅急便』

1988年、スタジオジブリにて『魔女の宅急便』の仕事に携わりますが、最終的には宮崎がこの作品のシナリオを書くことになりました。片渕は演出補として残り、ジブリ作品における重要な一端を担うことになります。1991年には虫プロで制作した『うしろの正面だあれ』で画面構成に関与し、1996年には『名犬ラッシー』で初監督となるなど、キャリアを広げました。

『アリーテ姫』 - マッドハウス

2001年には『アリーテ姫』での長編映画初監督を果たし、このプロジェクトは構想から11年の時間を経て完成しました。続いて、マッドハウスでの活動が中心となり、特に2006年の『BLACK LAGOON|BLACK_LAGOON』では監督・シリーズ構成・脚本も手掛けました。

2009年には『マイマイ新子と千年の魔法』を発表、オタワ国際アニメーション映画祭などで評価を得ます。2012年には『この世界の片隅に』の制作発表を行い、2016年には映画が公開され、複数の受賞歴を持ちます。

コントレイル設立以降

2019年にはアニメーション制作会社としてコントレイルを設立し、近年のプロジェクトである『つるばみ色のなぎ子たち』の制作も進行中です。

人物としての側面

片渕はアニメ制作における精緻な時代考証を重視し、自身の活動においても歴史に深く関与する姿勢が評価されています。彼の作品は多くの受賞歴を誇り、教育活動にも力を入れており、後進の育成にも尽力しています。また、航空史の研究にも興味を持ち、広範な知識を蓄えていることでも知られています。

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