猿投駅

猿投駅

猿投駅（さなげえき）は、愛知県豊田市井上町に所在する、名古屋鉄道（名鉄）三河線の駅です。駅番号はMY11が付与されています。三河線における山線の区間に位置しており、かつては西中金駅方面へと線路が伸びていましたが、2004年4月1日にこの区間が廃止されたことに伴い、当駅が三河線の起点駅となりました。

歴史

当駅は1924年（大正13年）10月31日、三河鉄道によって開業しました。開業当初は路線の終着駅であり、初代駅舎には古い客車の廃車体が再利用されたと言われています。駅の建設にあたっては、地元実業家の井上徳三郎氏が用地を寄贈したという貢献がありました。その後、1927年（昭和2年）8月26日に枝下駅まで路線が延伸されたことで途中駅となり、さらに1928年には西中金駅まで開通しました。

駅舎については、1932年（昭和7年）11月に2代目の建物が新築されています。貨物営業は1984年（昭和59年）1月1日に廃止されました。1979年（昭和54年）6月10日には猿投検車区（現在の猿投検車支区）が竣工し、車両基地としての機能も担うようになります。

現在の3代目駅舎は、1993年（平成5年）9月1日から使用が開始され、同年10月13日に竣工しました。ICカード乗車券の導入も進み、2003年（平成15年）10月1日にはトランパスが利用可能になりましたが、廃止予定の西中金方面では使用できませんでした。2011年（平成23年）2月11日には名鉄独自のICカード「manaca」が導入され、それに伴い2012年（平成24年）2月29日をもってトランパスの利用が終了しました。

そして、2004年（平成16年）4月1日の西中金駅までの区間廃止により、約77年ぶりに再び終着駅としての役割を担うこととなりました。駅周辺の整備も進み、2013年（平成25年）には駅前ロータリーが完成しています。近年では駅の運営体制にも変化があり、2023年（令和5年）7月1日からは終日無人駅となり、現在は駅集中管理システムによって豊田市駅から遠隔で管理されています。

駅構造

猿投駅は地上駅で、4両編成に対応した島式ホーム1面2線を有しています。駅舎はホームの北側（かつての西中金方面寄り）に1箇所設けられており、ホームへは構内踏切を渡ってアクセスします。構内踏切からはスロープが設置されており、バリアフリーにも対応しています。

駅舎内には自動券売機と自動精算機がそれぞれ1台ずつ設置されています。自動券売機では継続manaca定期乗車券の購入も可能ですが、名鉄ミューズカードでの決済には時間制限があります。自動精算機ではICカードへのチャージなども行えます。

当駅には猿投検車支区（旧・猿投検車区）が併設されており、三河線と豊田線で運用される車両が収容されています。収容能力に余裕があるため、検査などで使用されない新製車両や、廃車を控えた車両が一時的に留置されることもあります。

西中金方面が廃止された後も、駅北側の構内踏切と、最大6両編成の電車が一時的に停車できる線路が残されています。これは、検車支区での列車の入換作業に必要な設備として、現在も使用され続けているためです。かつて西中金方面にレールバスが運行されていた頃は、当駅でレールバスの停泊や給油が行われていました。

利用状況

猿投駅の利用状況を見ると、近年は一日平均乗降人員が3千人台で推移しています。名古屋鉄道が公表している『移動等円滑化取組報告書』によれば、2020年度の1日平均乗降人員は3,017人でした。

過去のデータと比較すると、『名鉄120年：近20年のあゆみ』によると2013年度は3,638人であり、当時の名鉄全駅中118位、三河線内では11位でした。『名古屋鉄道百年史』に記録されている1992年度のデータでは3,767人となっており、当時の名鉄全駅中118位、三河線内では10位に位置していました。これらのデータから、全体の傾向としては微減傾向が見られます。

貨物営業については、前述の通り1984年に廃止されています。

駅周辺

駅前にはいくつかの商店が見られます。周辺には、豊田市運動公園をはじめとする公共施設や、教育機関が多く立地しています。

主な周辺施設としては、豊田市運動公園や商業施設のメグリア井上店、金融機関の瀬戸信用金庫猿投支店などがあります。教育施設としては、愛知県立猿投農林高等学校、豊田市立猿投台中学校、豊田市立井郷中学校、豊田市立青木小学校、豊田市立井上小学校などがあり、学生の利用も多い地域です。井上公園も近くにあります。

主要な道路としては、愛知県道58号名古屋豊田線（飯田街道）や愛知県道347号猿投停車場線が通っています。他の公共交通機関としては、徒歩圏内に愛知環状鉄道・愛知環状鉄道線の四郷駅があります。また、駅前からは、とよたおいでんバスのさなげ・足助線が発着しており、浄水駅・豊田厚生病院方面や、西中金・香嵐渓を経由して足助病院・足助・百年草方面へのバス路線が利用可能です。

（注: 各施設の所在地やバス路線の詳細については、変更される場合があります。）

もう一度検索