王威

王 威（おう い）: 後漢時代末期の武将

王威は生没年が不詳の武将であり、中国後漢時代末期に活動していました。彼は若くして荊州の郡吏としてその名が知られるようになりました。当時、刺史であった劉表は「有益で時事に適した陳情であれば、身分の貴賤を問わず聞く」との布告を出し、王威はこれに応じて州刺史の官吏に昇進します。こうして彼はその仕事に従事し、年の暮れには交替で休暇を取っていました。

続いて、王威は劉表の息子である劉琮のもとで仕官しますが、曹操が大軍を率いて荊州へ侵攻してくると、状況は一変します。劉琮は戦うことなく曹操に降伏し、さらに劉備も戦場から逃げ去る結果となります。この混乱の中で王威は「曹操が我が軍を降し、劉備も退けたため、傍若無人に振る舞っている。私に兵数千をお与えいただければ、曹操を捉えて見せる。曹操を捕まえれば天下も手の中にある」と、劉琮に対して申し出ましたが、劉琮はその提案を受け入れませんでした。

この後、王威の行方は不明となり、彼の運命は歴史の闇に消えることになります。ただし、小説『三国志演義』には彼の物語が描かれています。この作品では、王威は劉表の部将として登場し、劉備の暗殺を目論む蔡瑁の指示を受けて同僚の文聘と共に行動します。

曹操が荊州に侵入すると、王威はこの機をとらえて彼を襲撃することを進言しますが、蔡瑁との間で口論に発展します。蔡瑁は「汝は天命を知らず！」「売国の徒め！」と王威を罵り合い、最終的には蒯越が仲裁に入ります。その後、王威は青州へ転任させられた劉琮に従い、劉琮の母親である蔡夫人の護衛を務めることになりました。

しかし、曹操の命により于禁が蔡夫人とその子どもを襲撃することになります。王威は力戦して抵抗しますが、最終的には劉琮を含む一行が皆殺しにされ、王威もその最後を迎えます。このように、王威は非常に困難な状況の中で奮闘し続けましたが、歴史の流れには逆らえず、その運命は悲劇的なものでした。

参考文献

• - 『三国志』魏書6劉表伝
• - 『三国演義』

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