理論社

株式会社理論社について

株式会社理論社は、東京都千代田区に本社を置く出版社です。日本書籍出版協会に加盟し、数多くの書籍を世に送り出してきました。1947年に小宮山量平によって設立され、当初は季刊誌『理論』を中心に、経済や歴史、社会科学に関する書籍を出版していました。

創業と初期の展開

創業からわずか数年後の1950年には、杉本栄一の著作『近代経済学の解明』が読売新聞社による「読者の選ぶ良書ベストテン」でトップ賞を受賞し、理論社の名声が高まりました。しかし、経済の動向により、特に朝鮮特需の影響で目先の利益を追求する風潮が強まる中、小宮山は次世代の情操教育の重要性を認識し、児童書へのシフトを決めることになります。

児童書への転換とその影響

児童書への転換は、理論社に新たな挑戦をもたらしましたが、返品率の高さという厳しい現実が待ち受けていました。それでも、小宮山の経営方針のもと、理論社は多くの親しまれる作品を世に送り出しながらも経営の厳しさに直面しました。社長の交代後、山村光司がトップに立った際には、西村滋の『お菓子放浪記』が課題図書として注目を集め、さらにその後テレビドラマ化もされ、大きな成功を収めることとなりました。

この成功に続いて、灰谷健次郎の『兎の眼』も大ヒットし、映画化されるなど、理論社は児童書以外にも広がりを見せるようになりました。

経営危機と再生

しかし、2010年には東京地裁に民事再生法の適用を申請し、約22億円の負債を抱えることになりました。この経営危機を受けて、日本BS放送が100%子会社を設立し、2011年には事業譲渡が行われ、理論社は新たなスタートを切ることになります。2012年には事業の一部が他社に譲渡され、再びBS11が連結子会社化。その後、国土社と共にBS11の本社ビルに移転することで、再生への道を歩むことになります。

出版のラインアップと戦略

理論社は、長年にわたって児童書を中心に出版し続け、学校図書館などへの納入を通じて安定した実績を重ねてきましたが、経営難により出版ジャンルの多様化が進み、大人向けの文芸書やサブカルチャーにも手を広げました。この新たな戦略が一時は失敗を招くものの、経営体制の見直しを行った結果、再び黒字化を果たし、事実上の経営危機から立ち直る成功を収めることができました。

主な出版物

理論社が手がけてきた主な作品には、児童書の他に、倉本聰の『北の国から』シナリオ集や、国際アンデルセン賞受賞作の『まど・みちお全詩集』などがあります。また、子供たちに人気のある「王さまシリーズ」や、『理論社ミステリーYA!』といった推理小説の叢書、さらにはフォア文庫として複数の出版社と協力して出版する児童書ブランドも展開しています。これらの活動は、理論社の独自の文化を育み続けています。

理論社は今後も、時代に応じた試みを行いながら、出版の人々にとっての「学びの場」としての役割を果たし続けることでしょう。

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